2002 Fiscal Year Annual Research Report
廃シリコーンのリサイクルを目指した炭酸ジアルキルによるシリコーン分解法の開発
Project/Area Number |
14750624
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 昌樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10262263)
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Keywords | シリコーン / リサイクル / 炭酸ジアルキル / 分解 / 解重合 / アルコキシシラン / シロキサン |
Research Abstract |
ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンは,塩基触媒存在下において容易に熱分解を起こし,シクロテトラシロキサンやシクロペンタシロキサンなどの環状オリゴシロキサンが生成することが知られている.これらは沸点が比較的低いため,気体として容易に取り出すことができる.そこで,シリコーンのリサイクルを目指して,シリコーンの熱分解により生成する環状オリゴシロキサンを,モノマーに分解する反応を検討した.アルミナ担持フッ化カリウム触媒を用いて,炭酸ジメチルによる環状トリ,テトラ,ペンタシロキサンの分解を気相流通系反応装置で行った.すべての環状シロキサンの分解において,モノマーであるジメチルジメトキシシランが収率90%以上で得られた.しかし,テトラおよびペンタシロキサンでは,触媒の失活が見られた.炭酸ジメチルに少量のメタノールを添加した結果,失活を抑制し,高収率を維持することができた.以上のことから,炭酸ジメチルを分解剤に用い,少量のメタノールを添加することによって,環状シロキサンからモノマーに分解するシリコーンのリサイクル法が構築できることを見出した. 次に,廃シリコーンを直接分解し,モノマーに転化する方法を検討した.シリコーンの分解剤には塩化水素やアミンが報告されている.これらは腐食性や毒性を有するという点で,リサイクルには適していない.メタノールや炭酸ジメチルも分解剤として報告されているが,触媒に硫酸を用いるなど問題がある.酸塩基以外の触媒であるフッ化カリウムを用い,炭酸ジメチルを分解剤に用いてジメチルシリコーンの分解を行った.しかし,モノマーはほとんど得られなかった.メタノールを共存させて反応を行うことにより,ほぼ完全に分解できることを見出した.この反応は,腐食性や毒性の低い分解剤を用い,廃酸処理などの問題もないことから,廃シリコーンのリサイクルにおける有効な方法として期待できる.
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