2002 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ベシクルを利用した生体適合性酵素マイクロリアクターの開発に関する基礎研究
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14750632
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
市川 創作 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (00292516)
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Keywords | ベシクル / マイクロチャネル / マイクロリアクター / 油中水滴型エマルション / 封入 / ジャイアント・ベシクル |
Research Abstract |
脂質ベシクルは脂質二分子膜と、それに取り囲まれた閉鎖空間から成る。本研究では、その閉鎖空間に酵素を内包化して反応を行うことで、ベシクルを微小な酵素リアクターとして積極的に利用することを目指す。その基礎として、本年度はマイクロチャネル(MC)乳化技術を用いて酵素の封入効率が高く、均一な大きさのベシクルを調製する新規手法の開発を目指した。MC乳化法とは、エッチング技術により精緻にサイズコントロールされたシリコン製MCの片側から分散相を連続相中に注入して均一なエマルションを調製する新規な手法である。この方法で数mm〜数10mmの均一な大きさの油中水滴型(W/O)エマルションを作製し、このエマルションを逆相蒸発する方法でベシクルを調製する方法を試みた。はじめに、連続相としてSpan80のヘキサン溶液を使用し、MC乳化法によるW/Oエマルションの調製を行なった。内水相に蛍光物質カルセインを封入し、平均粒径17.5μm、変動係数4.49%の単分散なW/Oエマルションを作製することができた。次に、ホスファチジルコリンとコレステロールを含むヘキサン溶液をW/Oエマルションに加えて、連続相中のSpan80を洗浄・希釈し、ロータリーエバポレーターによりヘキサンを除去した。これに外水相溶液を加えてベシクルを調製した。Span80を1/16にまで洗浄・希釈した場合、蛍光物質を漏出することなく内包化することができた。しかし、ベシクルの凝集が観察された。そこで、Span80を1/7500にまで洗浄・希釈した。この場合、一一部の水滴から内包していたカルセインが外水相へ漏出したが、W/Oエマルション調製時の水滴の大きさを保ったまま凝集することなくベシクルを調製することができた。今後、さらに調製条件の検討を行なうことで、内包率が高く、均一な大きさのベシクルが調製できる新規な手法として確立していきたい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sosaku Ichikawa, Tomoko Iino, Seigo Sato, Tadaatsu Nakahara, Sukekuni Mukataka: "Improvement of production rate and yield of fumaric acid from maleic acid by heat treatment of Pseudomonas alcaligenes strain XD-1"Biochemical Engineering Journal. 13. 7-13 (2003)