2002 Fiscal Year Annual Research Report
同種金属二核錯体システムの色彩特性を利用する微量指標金属種の目視閾値判定法の開発
Project/Area Number |
14750643
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
水口 仁志 山形大学, 工学部・物質化学工学科, 助手 (30333991)
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Keywords | 目視分析 / 簡易計測 / 閾値判定 / 微量金属イオン / 金属二核錯体 / 環境計測 |
Research Abstract |
同種金属二核錯体の生成反応における平衡特性と色彩特性を利用する微量金属イオンの新しい目視閾値判定法を提案した。一つの試薬分子に二個の金属イオンが結合できるタイプの発色試薬と金属イオンとの錯形成反応において,金属イオン過剰の条件では同種二核金属錯体が生成する。本法は,この二核錯体が金属イオン濃度の二次に依存する平衡特性を有することを利用して,金属イオン濃度のわずかな違いを明らかな色の違いで表現することで目視による閾値判定を可能にするものである。 本研究では,この平衡特性と発色試薬および錯体のスペクトル特性から,上記の閾値判定システムをシミュレートして,ここで提案するシステムの成立する条件を明らかにした。また,金属イオンとの配位結合部位が電子共役末端となる試薬としてキシレノールオレンジを選択し,鉄(III)イオンとの反応における平衡を解析することで,上記の閾値判定システムの実在することを示した。さらに,トリフェニルメタン系金属指示薬についてその特性を探索したところ,キシレノールオレンジ,メチルチモールブルー,メチルキシレノールブルーを利用したときの鉄(III)イオン,アルミニウム(III)イオン,ガリウム(III)イオン,インジウム(III)イオンの三価金属イオンについて目視閾値判定が可能であることがわかった。特に,メチルチモールブルーと鉄(III)イオンとの反応において,鉄(III)濃度に対する溶液の色がその変化の過程において色相平面上の無彩色点を通過し,色の変化を目視でより明瞭に識別できることがわかった。本法は,酸性河川におけるアルミニウムイオンの迅速な目視閾値検出法として利用できた。
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