2002 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙塵マントル層における星間分子常磁性種のESRその場観測
Project/Area Number |
14750657
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
駒口 健治 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80291483)
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Keywords | 電子スピン共鳴法 / 低温固相反応 / 量子力学的トンネル効果 / 水素原子引き抜き反応 / 化学進化 |
Research Abstract |
初年度は、直流高電圧プラズマ法による水素原子発生条件の最適化を行った。ESR測定用真空チャンバーに新しく取り付けたガス導入用ノズルから、プラズマ発生と同時にArガスを吹き付けることにより、水素原子を5 K Arマトリックス中に補足した。水素原子の収率は、電圧:3kV-5kV,電流:0.01mA〜0.25mA,ガス組成:H_2/He=0.2〜0.5の条件下で比較的高いことがわかった。水素原子と共に生成する常磁性種(CH_3、CHOおよびNラジカル)が問題となったが、ターボ分子ポンプの使用による真空度の改善および光学トラップの使用によりほぼ解決できた。 また、低温固相におけるシリル基とメチル基水素の反応性の違いを調べるため、最も単純なアルキルシランであるメチルシラン(CH_3SiH_3)とH原子およびCH_3ラジカルとの反応性についてESR法を用いて調べた。3 K-120 Kの低温固相中において、シリル基水素の引き抜かれたメチルシリルラジカル(CH_3SiH_2)が高選択的に生成することをESR法で直接観測した。77KにおけるCH_3ラジカルによる水素原子引き抜きの反応速度は,k_<(Si-H)>=3.6x10^<-2>s^<-1>およびk_<(Si-D)>=6.9x10^<-6>s^<-1>(k_<(Si-H)>/k_<(Si-D)>=5200),20K以上における活性化エネルギーは、E_<a(Si-H)>=0.85 kJmol^<-1>およびE_<a(Si-D)>=8.9 kJmol^<-1>(E_<a(Si-H)>/E_<a(Si-D)>=1/10)と評価できた。大きなH/D同位体効果が観測できたことから、シリル基水素の引き抜き反応では量子力学的トンネル効果の寄与が大きいことがわかった。次年度は、宇宙塵モデル反応として、プラズマ法により生成した基底状態水素原子と窒素原子、アセチレンおよびメチルシランとの低温固相化学反応を調べる。
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Research Products
(1 results)