2002 Fiscal Year Annual Research Report
dブロックオキソイオンを用いた二元遷移金属酸化物薄膜の新しい作製プロセスの開発
Project/Area Number |
14750658
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中山 雅晴 山口大学, 工学部, 助教授 (70274181)
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Keywords | マンガン / バナジウム / 複合酸化物 / 薄膜 / 電気化学 / X線光電子スペクトル / 電子スピン共鳴 / バナジン酸 |
Research Abstract |
複合遷移金属酸化物は電気,光学分野における機能性無機材料として広く応用されており,近年,これらを用いたデバイスの小型化や高密度化に伴い,その薄膜作製技術の進展が要求されている.薄膜作製法としてはスパッタ,物理・化学蒸着などの高温高真空プロセス,ゾル-ゲル/熱分解プロセスが一般に用いられている.電気化学析出法はこれらの方法に比べて,低環境負荷,低コスト,さらに制御しやすいという点で有利であるが,異種遷移金属を含む複合酸化物をアノード酸化により1ステップで合成した例は見あたらない.また,高温プロセスでは熱力学的に安定な相が形成されるのに対して,低温プロセスでは速度論条件下で反応が進行することによって未知の構造の酸化物が得られる可能性がある.本研究では,オキソバナジウムイオン(VO_3^-)を含む水溶液中でMn^<2+>イオンをアノード電解することによって電極(白金)上にMn/V複合酸化物薄膜を作製することを試み,得られた薄膜の分光学的特性を調べた.X線光電子スペクトルより,膜中にVが含まれること,Mnが3,4価の混合原子価状態で存在すること,金属-酸素ネットワークが十分に発達していることを明らかにした.一方,X線回折測定によれば,膜はアモルファスであり,MnとVが良く分散していることが示唆された.さらに,電子スピン共鳴測定を行った結果,複合膜と水との反応により2価のMnに特有なシグナルが観察された.これは,膜中のMn^<3+>イオンが水と反応することでMnOとMnO_2に不均化されたためと推察される.
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