2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いる芳香族ハロゲン化物とベンジルアルコール類のクロスカップリング
Project/Area Number |
14750669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 哲也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40273586)
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Keywords | パラジウム触媒 / 炭素-炭素結合切断 / 炭素-水素結合切断 / ビアリール合成 / クロスカップリング / ベンジルアルコール / シクロメタレーション / アリール化 |
Research Abstract |
本研究の初年度にあたる平成14年度は、おもにパラジウム触媒を用いる芳香族ハロゲン化物とα,α-二置換ベンジルアルコール類とのカップリング反応について検討を行った。その結果、反応系を適切に設定することで、ベンジルアルコール類のα炭素-β炭素間の結合がスムーズに切断され、芳香族ハロゲン化物とのカップリング生成物、すなわちビアリール類を高収率で与えることが明らかになった。ビアリール合成法としては、これまで鈴木-宮浦反応に代表される芳香族ハロゲン化物とアリールボロン酸など有機金属試薬とのクロスカップリング反応が広く用いられてきたが、多量の金属塩廃棄物の副生を伴う従来法に対し、本反応では副生物がケトン等のカルボニル化合物のみとなり、反応後の後処理およびリサイクルが容易になると考えられる。種々の構造を有するベンジルアルコールを用いて系統的に反応性を調べた結果、興味深いことにオルト位に置換基を有する場合に、特に効率良く反応が進行することがわかった。さらに芳香族ハロゲン化物として、安価で入手の容易な塩化物が良好な反応性を示す点も本反応の特徴である。 一方、アルコールの構造や反応条件によっては、水酸基の近傍の炭素-水素結合切断を伴ったアリールーアリールカップリングが位置選択的に起こることもわかった。反応機構について検討・考察し、炭素-炭素結合ならびに炭素-水素結合切断を自在に制御することも可能となったので、今後これらの素反応を含む新規有機合成反応の開発へと発展させる予定である。
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