2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14750677
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 芳彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60283412)
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Keywords | ルテニウム / メタラシクロペンタジエン / 複核有機繊維金属錯体 / ジイン / 配位子交換 / ホスフィン / キレート配位子 / 架橋配位子 |
Research Abstract |
アルキン末端にエステル基を置換した1,6-ジイン・ジエステルを3核ルテニウムカルボニルクラスター[Ru_3(CO)_<12>]と、一酸化炭素雰囲気下にアセトニトリル中120度で12時間加熱反応させた結果、高収率で複核ルテナサイクル錯体が得られた。その構造をX線解析によって求めたところ、鉄のフェロール錯体と類似の構造を有していることが判明した。さらにこの錯体の反応性を調べるため、トリメチルアミンオキシドを用いて、穏和な条件下に一酸化炭素配位子の置換を行った。錯体と1当量のアミンオキシドをテトラヒドロフラン中で反応させたところ、室温で置換が進行し、対応する複核ルテナサイクル・トリメチルアミン錯体が高収率で得られた。さらに、そのアミン配位子を置換するため、様々なホスフィン類とテトラヒドロフラン中で加熱反応をおこなった。その結果、ほとんどの単座および二座ホスフィンからは、単座配位したモノホスフィン錯体が生成したのに対し、ジフェニルホスフィノメタンからは、もう一分子の一酸化炭素配位子が放出された結果、ホスフィンが二つのルテニウム原子に架橋型に配位した錯体が生成した。一方、ジフェニルホスフィノエタンおよびジフェニルホスフィノピリジンより合成したモノホスフィン錯体を、1当量のアミンオキシドで処理して一酸化炭素配位子を除くことにより、これらの二座配位子が0価ルテニウム中心上で、それぞれP-P型およびP-N型キレート環を形成した錯体を得ることもできた。 ホスフイン類に加え、反応性分子であるアルキン類との反応も検討した。二つのエステルによって求電子的に活性化されたアセチレンカルボン酸ジメチル(DMAD)をモノアミン錯体と加熱反応させたところ、DMADが二つのルテニウム原子に架橋するように酸化的付加した、μ-η^2配位アルキン錯体が生成し、その構造をX線解析により明らかにすることができた。さらに、この錯体をキシレン中還流するすることにより、ルテナサイクルとアルキン配位子がカップリングすることにより、[2+2+2]環化付加生成物である双環式ベンゼン誘導体がわずかながら生成した。これらの結果とは対照的に、電子的に中性であるジフェニルアセチレンからは、同様のμ-η^2配位アルキン錯体は全く生成せず、[2+2+2]環化付加物であるターフェニル誘導体を主に与えた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshihiko Yamamoto, Koichi Hata, Takayasu Arakawa, Kenji Itoh: "Ru(II)-catalyzed [2+2+2] cycloaddition of 1,2-bis(propyolyl)benzenes with monoalkynes leading to substituted anthraquinones"Chemical Communications. 11. 1290-1291 (2003)
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[Publications] Yoshihiko Yamamoto, Takuya Ohno, Kenji Itoh: "Dinuclear Palladium(0) and Platinum(0) Complex with p-Benzoquinone and Norbornene Ligands"Organometallics. 22・11. 2267-2272 (2003)
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[Publications] Yoshihiko Yamamoto, Asako Nagata, Hitomi Nagata, Ryoji Ando, Kenji Itoh: "Palladium((0)-Catalyzed Intramolecular [2+2+2] Alkyne Cyclotrimerizations With Electron-Deficient Diynes and Triynes"Chemistry - A European Journal. 9・11. 2469-2483 (2003)
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[Publications] Yashihiko Yamamoto, Takayasu Arakawa, Ryuji Ogawa, Kenji Itoh: "Ruthenium(II)-Catalyzed Selective Intramolecular [2+2+2] Alkyne Cyclotrimerizations"Journal of the American Chemical Society. 125・40. 12143-12160 (2003)