2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による選択的炭素-炭素結合開裂を鍵とする新規合成反応の開発
Project/Area Number |
14750680
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 貴洋 京都大学, 工学研究科, 助手 (50335197)
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Keywords | パラジウム / 光学活性配位子 / アリール化反応 / シクロブタノール / 光学活性ケトン / β炭素離脱 / 炭素-炭素結合開裂 / 速度論的光学分割 |
Research Abstract |
パラジウムを触媒とする三級シクロブタノール類とハロゲン化アリールとの反応において、光学活性ホスフイン配位子を用いることで、エナンチオ選択的に炭素-炭素結合が開裂し、新たに炭素-炭素結合生成反応を経て光学活性なケトンが得られることを見出した。例えば、1,3-diphenyl-1-cyclobutanolと臭化アリールとの反応においては、光学活性フェロセニルホスフィン配位子を用いることで、最高95%eeで対応するアリール化された光学活性ケトンが得られた。この配位子は、フェロセン環上にジフェニルホスフィノ基及び不斉炭素を有するアミノエチル基を有しており、高い不斉収率で目的生成物を得るためには、アミン上に一つのメチル基ともう一つの置換基としてアダマンチル基のようなかさ高い置換基が必要である事が明らかとなった。さらに、フェロセン環上の面不斉、アミン部位の点不斉及びかさ高いフェロセン骨格が、高い不斉収率だけではなく高い触媒活性を得るために重要な役割を果たしている事が明らかとなった。また、不斉アリール化反応と同様に、不斉ビニル化及び不斉アレニル化反応も効率よく進行する事を見出した。さらに、炭素-炭素結合開裂を経るアリール化反応を用いた、ラセミ体の三級シクロブタノール類の速度論的光学分割においては、光学活性ケトンならびに光学活性アルコールを良好な不斉収率で得る事に成功した。これらは、エナンチオ選択的に炭素-炭素結合を開裂させるというこれまでに例のない興味深い反応である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nishimura Takahiro, Matsumura Satoshi, Maeda Yasunari, Uemura Sakae: "Palladium-catalyzed kinetic resolution of tert-cyclobutanols via C-C bond cleavage"Tetrahedron Letters. 43巻16号. 3037-3039 (2002)