2002 Fiscal Year Annual Research Report
複素芳香族化合物ピロールの触媒的不斉水素化:光学活性ピロリジンの触媒的不斉合成
Project/Area Number |
14750681
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 良一 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20273477)
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Keywords | 水素化 / ロジウム / ピロール / ピロリジン / 触媒反応 / 還元 |
Research Abstract |
複素芳香族化合物の還元は多くの有用な生理活性化合物の部分構造となる不斉な複素環骨格を与える有用な手法である。しかし、そのような化合物は光学活性体として存在し、特定の立体化学の化合物しか有効な生理活性を示すことはない。従って、このような化合物は立体選択的に合成されるべきであるが、複素芳香族化合物の還元は過酷な反応条件下で行われることが多く、立体化学の制御は困難であろうと考えられてきた。そこで、本年度では複素芳香族化合物であるピロールの触媒的不斉水素化に適した均一系遷移金属錯体触媒の開発を試みた。 基質として、第三ブトキシカルボニル基で窒素原子上を保護した無置換ピロールを選び、様々なロジウム錯体を触媒として水素化還元を試みたところ、(アセチルアセトナト)(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム錯体とトリフェニルホスフィンから系中で調製される錯体が最も高い触媒活性を示すことを見出した。基質に対しモル比1/100のロジウム錯体で反応を行った場合、2時間以内で反応は完結し、91%の単離収率で目的とするN-(第三ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。 この反応では、ロジウム原子上のホスフィン配位子としてトリフェニルホスフィンの代わりに、様々な二座ホスフィン配位子を用いても触媒活性が大きく損なわれることはなく、反応速度の極端な低下はみられなかった。一方、触媒的不斉合成用として開発・市販されている不斉配位子の大部分は二座ホスフィン配位子である。従って、上記反応のトリフェニルホスフィンのかわりに種々の光学活性二座ホスフィン配位子を用いることにより、高エナンチオ選択的なピロールの触媒的不斉水素化の実現が期待できる。
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