2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子インプリント法を用いた合目的的新規多糖キラル分離剤の開発 -分けたいものを分けるキラル分離剤の調整法開発-
Project/Area Number |
14750692
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 智代 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80314045)
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Keywords | 光学分割 / セルロース / キラル固定相 / 分子インプリント / 高速液体クロマトグラフィー / ベンゾエート / 多糖誘導体 |
Research Abstract |
高速液体クロマトグラフィーに用いられている多糖誘導体型のキラル固定相は、広範囲のラセミ体に対して高い光学分割能を有し、市販されている。主に用いられているものとして、セルロースやアミロースのフェニルカルバメート及びベンゾエート誘導体が挙げられるが、ベンゾエート誘導体については、キラル固定相の調製条件を変えることでその光学分割能が変化することがわかっている。これは、フェニルカルバメート誘導体が分子内に有している側鎖間の水素結合がベンゾエート誘導体には存在していないため、構造変化が起こりやすいことが理由の7つとして考えられる。本研究では、このベンゾエート誘導体の性質を利用して、固定相調製時に添加剤を加える(インプリントする)ことで、分割目的化合物に対して特異的に光学分割能を有する誘導体の調製を行った。分割目的化合物には殺虫剤の中間体として有用な菊酸エステルを設定し、インプリント分子としては、メチルベンゾエートを用い、セルロースの4-メチルベンゾエート誘導体からなるキラル固定相の様々な調製条件について検討した。その結果、インプリント分子の量が光学分割能に影響を与えることがわかり、グルコース環に対して10等量加えた時に最も高い分離係数値が得られた。また、充填剤を減圧にして乾燥するには、インプリント分子が一緒に留去されることのない温和な条件(真空度をあげない、温度をかけない)が必要であることが明らかとなった。さらに、メチルベンゾエートのフェニル基上に様々な置換基を導入して、インプリント効果の違いを検討したところ、置換基のかさ高さ、電気的性質により、大きく結果が異なった。かさ高い置換基をいれた場合、ベンゾエート誘導体との相互作用が弱くなり、インプリント効果は得られないことがわかった。これら様々な調製条件について最適化を行い、高い光学分割能を有する充填剤の調製が可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] C.Yamamoto: "Structural Analysis of Amylose Tris(3,5-Dimethylphenylcarbamate) by NMR Relevant to Its Chiral Recognition Mechanism in HPLC"J.Am.Chem.Soc.. 124・42. 12583-12589 (2002)
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[Publications] T.Kubota: "Preparation of Chiral Stationary Phase for HPLC Based on Immobilization of Cellulose 3,5-Dimethylphenylcarbamate Derivatives on Silica Gel"Chirality. 15. 77-82 (2003)