2003 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾法と再構成法を利用したヘム蛋白質複合化手法の開発と光機能化
Project/Area Number |
14750697
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高島 弘 奈良女子大学, 理学部, 助手 (80335471)
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Keywords | ヘム蛋白質 / 光電子移動 / 再構成 / DNA / インターカレーター |
Research Abstract |
近年、DNAは光誘起電子移動反応のマトリックスとして非常に興味深い性質が見出されており、幾つかのグループによってDNAが示す電子伝導性などが見出されている。本研究では、DNAに対するインターフェースをヘム蛋白質(ミオグロビン)に化学的に導入することにより、新規なヘム蛋白質-DNA複合体を構築し、DNAを反応場とした光機能化を目指すことを目的としている。本研究課題に対して我々は、DNA結合能を示すミオグロビンの調製のため、種々のインターフェースを有する補因子ヘムの合成と、それらのアポミオグロビンへの再構成を行った。インターフェースのとしては、平面型白金(II)錯体、エチジウム、アクリジンに代表されるインターカレーター類を取り上げた。化学修飾法、再構成法ともにミオグロビンの部位特異的化学修飾に適した手法であるが、その一般化については我々を初めとして幾つかのグループが既に報告しており、それに従って、これらインターカレーターを修飾した化学修飾ヘムまたは亜鉛ポルフィリンの有機合成に成功した。得られた合成分子について、アポミオグロビンへの再構成を行った。再構成ミオグロビンは、UV、蛍光、CDスペクトルなどから、天然型ミオグロビンと同様に、その構造を安定に保持したまま溶液内で存在可能であることが明らかとなった。 本研究課題において調製した再構成ミオグロビンが示す性質の一例として、アクリジン修飾ミオグロビンについては、補因子として亜鉛ポルフィリンを用いた場合、アクリジンの光励起によって亜鉛ポルフィリンへの分子内エネルギー移動が、ヘムを用いた場合、アクリジンからヘムへの分子内電子移動消光反応が観測された。このアクリジン修飾ミオグロビンは、DNAと複合体を形成し、後者では消光されていたアクリジンの蛍光が回復する過程を、蛍光スペクトルによって確認することに成功した。現在のところ、適度なGC含量を示す安定なDNA鎖を利用して、ヘム蛋白質-DNA複合体形成の評価を行っている。こうした結果については、今年度の学会等で既に発表済みである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Takashima, M.Tanaka, Y.Hasegawa, K.Tsukahara: "Remarkably stereoselective photoinduced electron-transfer reaction between zinc myoglobin and optically active binaphthyl bisviologen."Journal of Biological Inorganic Chemistry. 8. 499-506 (2003)
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[Publications] K.Tsukahara, N.Iida, Y.Kaida, H.Takashima, M.Mizobe, R.Arakawa: "Intramolecular Electron Transfer of Cytochrome c Modified with N, N, N', N", N"-Diethylenetriaminepentaacetatocobaltate(III)"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 76. 1323-1328 (2003)
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[Publications] K.Tsukahara, M.Nishimine, Y.Shioyama, H.Takashima, J.Hirose: "Intramolecular Electron-Transfer Pathway for Deoxy and Zinc Myoglobins Modified with N, N, N', N", N"-Diethylenetriaminepentaacetatocobaltate(III)"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 76. 2135-2142 (2003)