2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポリシランをコアとするミセルから合成されるマイクロカプセルの構造、物性と機能
Project/Area Number |
14750703
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
寺尾 憲 群馬大学, 工学部, 助手 (60334132)
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Keywords | ナノカプセル / マイクロカプセル / ポリシラン / 少角X線散乱 / 原子間力顕微鏡 / 動的光散乱 / 円二色性 / らせん構造 |
Research Abstract |
(1)高分子ミセルへのγ線照射による化学架橋の形成 ポリイソプレン-ポリアクリル酸ブロック共重合体を合成し、水中で形成されたミセルのシェル部分を架橋するために試薬を必要としないγ線架橋を日本原子力研究所高崎研究所にて行った。このようにして得られたシェル架橋型ミセルの構造を調べるために動的光散乱測定、放射光小角X線散乱測定(Spring8)、原子間力顕微鏡観察を行った。これらの測定の結果から、照射線量によって50〜200nmの粒子が出来ること照射線量の増加と共に粒径が減少することがわかった。この粒子は粒子内が疎水性であるため、油状物質を内包することが出来ると考えられる。実際ソルバトクロミズムを持つ色素を分散液中に添加すると、次第にその色が変化し、粒子内部に色素が内包されることがわかった。 (2)マイクロカプセル内での光学活性ポリシランの会合と光学物性 凝集に関与するポリシラン数を一定にするために本研究では予めポリシラン溶液をマイクロカプセル中に封入しておき、そのマイクロカプセル内に沈殿剤をしみこませることによって凝集体を調整する方法を試みた。さらに得られた凝集体入りのマイクロカプセルの円二色性測定を行い、凝集体内部のポリシランのらせん構造について調べた。作製したポリシラン分散液はいずれもポリシラン主鎖の吸収波長(およそ320nm)に円二色性のピークが観測された。20℃でエタノールを注入したものは非常に小さい円二色性を持つにもかかわらず-78℃で注入したものはかなり大きい円二色性を持つことがわかった。さらにこの円二色性は温度を変えても変化しない、すなわちポリシランが凝集体の構造にはそれを作製した温度におけるらせん構造が反映され、その構造は温度を上げてもほとんど変わらないことがわかった。
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