2002 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマテリアルへのメソスコピックな立体規則構造の付与とその光学的性質の評価
Project/Area Number |
14750707
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹岡 敬和 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20303084)
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Keywords | メソスコピック / ゲル / ソフトマテリアル / 構造色 |
Research Abstract |
これまで、pH、温度、イオン濃度、光、電場などの刺激を関知して、その体積や形態を大きく変化させることのできるソフトマテリアルは、その柔軟性やしなやかさから、アクチュエーター、生体適合性医用材料などの分野への応用が期待されている。中でも、高分子が三次元架橋された網目の中に、溶媒としての水を抱えたハイドロゲルは、応用以外にも、基礎的な性質の面白さから、多くの研究が行われている。そのユニークな性質の一つとして、ゲルは合成時の状態を記憶しているということが知られている。例えば、丸い容器でゲルを作った場合には、溶媒を吸っても吐き出しても、その立体的な形は丸のままである。これは、ゲルがそのマクロな形状を記憶したものと言える。また、ある特定の分子を水素結合などで相互作用するようなモノマーと架橋剤共存下でゲル化させると、その分子の形を相補的な穴がゲルの中に形成される。これは、ミクロなサイズのゲルの記憶である。つまり、ゲルは、あらゆるサイズに渡って構造を記憶する能力を有していると言える。 本研究では、ゲルの記憶能を利用して、メソスコピックな立体規則構造を形成させ、その規則構造に由来する発色現象を環境に応答して変化させるソフトマテリアルの構築を目的とした。具体的には、リソグラフ法を用いて加工した立体的規則構造を有する酸化物や金属でできた材料を容器と見立て、その中でゲルを合成することでゲルに微細構造を記憶させる。その後、エッチングにより酸化物や金属を取り除くことで目的にゲルが得られると考えた。昨年度における一年間に得られた結果としては、特定の環境(温度、溶媒組成、pHなど)において、任意の波長の光を反射して色を示すようなゲルの調製に取り組んだ。その結果、光の波長と同程度の大きさの球状シリカからなるコロイド結晶を鋳型にすると、ゲルを調製する際のモノマー濃度、架橋剤濃度、およびその比率を変えるだけで、異なる色を示すゲルが得られることを明らかにしてきた。さらに、環境の変化に応答するような官能基を有するゲルとすることで、環境変化に伴う色変化を示す材料となることも分かってきた。 本年度においては、様々な周期構造を有するポーラス材料を鋳型に用いて、任意の色調の変化を来すようなソフトマテリアルの開発に取り組む予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "Polymer Gels that Memorize Structures of Mesoscopically Sized Templates"Langmuir. 18. 5977-5980 (2002)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "Template synthesis and optical properties of chameleonic poly(N-isopropylacrylamide) gels using closest-packed self-assembled colloidal silica crystals"Advanced Materials. 15. 199-201 (2003)
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[Publications] 雲田将史, 竹岡敬和, 渡辺正義: "Template synthesis of poly(N-isopropylacrylamide) minigels using interconnecting macroporous polystyrene"Langmuir. 19. 525-528 (2003)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "ゲルの構造記憶能と機能化"高分子加工. 52. 9-17 (2003)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "コロイド結晶のソフトマテリアル化"繊維学会誌. 59. 49-54 (2003)
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[Publications] 竹岡敬和 他: "ゲルと生命"東京大学出版会. 4 (2002)