2002 Fiscal Year Annual Research Report
時分割偏光変調分光測定による高分子鎖のキラリティーのダイナミックス評価
Project/Area Number |
14750708
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
堀中 順一 福井大学, 工学部, 助手 (00313734)
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Keywords | 偏光変調分光法 / 時間分解測定 / キラリティー / 高分子鎖 / タイムコンスタント |
Research Abstract |
高分子鎖のキラリティーの変化をダイナミックスとして捉え、過渡的な状況を明らかにすることを目的とした。偏光変調分光測定におけるロックインアンプのデータ出力の速さを最大限に活かし、かつデータ取得システムを自動化することにより高速化し、サブミリ秒オーダーの時間分解能の実現を目標にした。本年度はまず測定装置の整備から始めた。まず高速データ取り込みを実現するためにシステムの自動化に取り組んだ。デジタルロックインアンプを新たに購入し、ナショナルインスツルメンツ社製のデータ取得システムを媒介してLabVIEWプログラムでデータ取得をコンピュータ制御するシステムを構築した。偏光変調分光測定は現有の日本分光J-500Aで行った。本装置では50kHzの変調周波数で変化する光の振幅をロックインアンプで抽出するが、この際強度の時間平均を取ることによって雑音を取り除く。データ出力間隔は平均を取る時間の長さ(タイムコンスタント)で決まる。タイムコンスタントを長くすればデータのS/N比は良くなるが時間分解能は下がる。従来は秒オーダーのタイムコンスタントであったが、これをどの程度まで短く出来るか、様々な系について検討した。その結果、よほどシグナルが弱い系でない限り、ミリ秒のオーダーまで良好なS/N比が得られることがわかった。この測定システムを用いた時分割測定の適用対象として、種々の系について検討したが、キラリティーの変化を誘発するような条件の変化と装置の時間分解能との整合性について課題が見つかった。しかしこの点を解決すれば、興味深い結果が得られるという感触も得られた。来年度の重要なテーマとする。
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