2004 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子のひも状集合体を化学架橋により固定化・被覆したナノ導線の開発
Project/Area Number |
14750711
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森 健 徳島大学, 工学部, 助手 (70335785)
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Keywords | ポリパラフェニレンビニレン / ポリエチレングリコール / 導電性 / ナノ導線 / 液晶性 / ひも状ミセル |
Research Abstract |
液晶性高分子としてポリパラフェニレンビニレン(PPV)に着目し、定法に従ってπ共役が飽和に達した長さである10量体程度のものを合成した。これを分子量の異なる3種類の末端アミノ化されたポリエチレングリコール(PEG)(分子量2200,5200,11800)とC=N結合によって連結させた後、シアノ水素化ホウ素ナトリウムによって還元することで安定なC-N結合へ変換した。これ以降、PEG分子量の小さいブロックポリマーから順にpolymer1、polymer2、polymer3と呼ぶことにする。 得られたブロックポリマーを良溶媒であるTHFに溶解し、そこにPEGに対する選択溶媒であるH_2Oを加えた。その結果、3種類すべてのポリマーにおいて、ポリマーは可溶であるもののUVスペクトル測定からPPV吸収のブルーシフトと淡色効果が観察されたことから、PPV部分が不溶化して会合していることが示された。また、蛍光スペクトル測定からもPPV部の消光が観察されたことから、PPVの会合が示唆された。 ポリマーのTHF溶液をキャストし乾燥させた状態でTEM観察を行ったところ、polymer1およびpolymer2においては、直径が十nm程度で長さが数百nmのひも状の集合体が観察された。この直径がPPV二分子分に相当することから、ひも状集合体の軸方向に対して垂直にPPVが並んでいることが示唆された。一方、polymer3については、球状の集合体が観察された。これは、PEGが長くなるために、もはや棒状集合体が安定構造でなくなったからと考えられる。 次に、THF/水の混合溶媒中において、polymer2に対してPPVホモポリマーを混合させてみた。その結果、polymer2はPPVホモポリマーを可溶化させることが明らかとなった。TEMにて可溶化された構造を観察したところ、PPVホモポリマーを混合させないときと同様のひも状集合体が観察された。このことから、polymer2が作るひも状集合体のPPVコア部に、PPVホモポリマーが可溶化されていることが示唆された。 また、新しい構造のブロックポリマーとして、PPVとPEGからなるT字型ポリマーの合成を行った。PEG片末端にジブロモフェニル基を導入し、スチレンとHeck反応を行うことで、ポリマーの合成に成功した。
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Research Products
(1 results)