2003 Fiscal Year Annual Research Report
シーケンシャルポリペプチドによる3次元自己整合構造の構築
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14750713
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
櫻井 敏彦 熊本大学, 工学部, 助手 (10332868)
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Keywords | シーケンシャルペプチド / βシート構造 / 高配向性会合体 / 繊維状会合体 / 分子間水素結合 / ナノワイヤー / クラウンエーテル / 金属錯体 |
Research Abstract |
先年度まで,本研究では,分子ナノワイヤーの構築を目指し,剛直で分子間水素結合により形成されるポリペプチドβ-sheet構造に着目した。ポリペプチドのアミノ酸配列による主鎖2次構造の制御,さらに単分散性による自己整合性を利用した3次元高配向性会合体の構築と制御を目的とする。具体的には,アミノ酸配列の中でも特にβ-sheet構造を形成すると考えられるシーケンシャルポリペプチドを調製した結果,(1)NaClの添加に伴い,LysineとLeuicineが交互に配列したペプチドPyr-(LK)_8)において,β-sheet構造を主とした二次構造へと転移した。(2)Py-(LK)_8では,小さな繊維状会合体が寄り集まって形成された繊維状の会合体が観測された。この小さな繊維状会合体はナノレベルのらせん構造を形成した。このようなナノ構造は,ランダムなアミノ酸配列では観察されなかった。以上の結果は,高配向性1次元会合体の構築と,さらなる分子間相互作用(本申請書における錯構造形成能)を分子設計により組み込むことで,この会合構造を利用した3次元集積化への展開が可能であることが示唆された点で非常に重要な結果と考えられる。 本年度では,分子鎖末端のPyrをクラウンエーテルに置き換え,同様な研究を試みた結果,この化合物においても高配向性1次元会合体の構築が可能であった。また,末端のクラウンエーテルは金属包接能を有することから,包接金属の蛍光特性について検討した結果,β-sheet構造への転移に伴い交互シークエンスでは顕著なピークシフトと消光が確認された。これは,1次元会合体形成による分散状態とは異なった配位構造,すなわち金属の一次元配列が行われた結果と考えられる。本研究は,有機超分子構造体を鋳型とした1次元金属ナノワイヤーの構築として非常に有用であることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Sakurai, M.Koga, M.Takafuji, H.Ihara: "Formation of nanofibrillar aggregates by water-soluble β-structural oligopeptide, (L-Lys-L-Leu)_8"Chemistry Letters. No.2, Vol.32. 152-153 (2003)
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[Publications] H.Ihara, M.Takafuji, T.Sakurai: "Self-assembled nanofibers"Encyclopedia of Nanoscience and Nanotechnology(未定). (2003)