2004 Fiscal Year Annual Research Report
高速極低温流体中に発生するキャビテーション気泡流の数値解析コード構築に関する研究
Project/Area Number |
14750720
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 優 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10323817)
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Keywords | キャビテーション / 低温 / 数値解析 / 相変化 / 気泡径分布 / 可視化実験 |
Research Abstract |
LE-7Aロケットエンジンの開発で問題となったターボポンプのキャビテーションの発生と影響の厳密な予測は現在の技術では非常に困難である.今後の高性能化・高効率化を達成するには高速低温流体中キャビテーションの数値解析コードが有効となる.著者が開発した液体窒素の先細末広ノズル中のキャビテーション気泡流コードをベースに,相変化の熱力学モデルを改良し,3次元複雑キャビテーション場の解析用に気泡径分布モデルを新たに導入したコードを開発した. キャビテーション流では個々の気泡の蒸発・凝縮量を含めた成長・収縮の正確な計算が極めて重要となる.それが気相割合=ボイド率の分布を決定し,ボイド率分布が流れ場の性質を決定するからである.気泡成長・収縮モデルには一般に慣性力支配モデルと伝熱支配モデルがある.本研究では両モデルを含めて検討した結果,翼周りのキャビテーション流では,気泡は場所により圧力が変化する流れ場中を移動するため,一般に振動状態である.ゆえに温度境界層厚さも変動し,単純な慣性力支配モデルや伝熱支配モデルでは正確な計算が困難であることが判明した.そこで慣性力による気泡の振動運動とそれに伴う温度境界層内の温度分布の時間変化を考慮した厳密な数値計算を行い蒸発・凝縮量を計算した. 3次元複雑キャビテーション場の解析には,計算負荷が軽く,循環流れを考慮し同一空間内に時間履歴やサイズの異なる気泡の混在を取扱う必要がある.そこで従来のラグランジェモデルの長所であるサイズの異なる気泡が混在できる点を維持しつつ,短所である計算負荷が大きい点を改良するため,気泡径分布モデルを採用した.本モデルを静止液体中および1次元ノズル流れにおいて検証し,妥当性を確認した. 最後に,上下100Lの液体窒素流下水槽を構築し,翼周りに発生するキャビテーションを高速度ビデオで可視化する実験を行い,開発した計算コードの検証を行った.
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Research Products
(6 results)