2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750723
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前川 和義 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (80250504)
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Keywords | 船舶操縦性能 / 操縦流体力 / 拘束模型試験 / 斜航試験 / 定常流体力 / 過渡特性 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、斜航流体力特性を計測するための実験工程の省力化を目的として船体模型に正弦状の強制運動を与えるPMM試験の手法を取り入れた流体力計測試験を実施した。船体模型に周期運動を与えて得られる流体力の時系列データには、本研究で対象としている過渡的な影響の他に慣性力や付加質量等に基づく非定常流体力成分が含まれており、長周期の緩やかな運動で計測した流体力時系列データを成分分離型数学モデルにより解析することで、準定常流体力を精度良く抽出できることが昨年度の研究で確認されている。そこで本年度は、船体に与える運動の周波数により生じる諸影響について検討を行った。また本研究で行っている周期運動は一般的なPMM試験とは異なり、省力化の観点から短時間の計測で済む運動開始後1〜2周期を解析対象としている。従って運動開始時に急激な運動変化があると、その影響を大きく受けることが予想される。そこで、その影響をできるだけ排除する新たな運動についても検討を行った。検討の結果、以下のことが明らかとなった。 1.運動周波数を幅広く設定し、流体力時系列の計測結果を別途行った斜航試験結果に基づく推定値と比較したところ、高周波数の運動ではデータ間に位相差が現れるものがあり、全ての成分をそのまま準定常流体力として取り扱うことはできない。 2.時系列の一部に位相差が現れる運動に対しては、計測波形から運動速度成分の抽出を試みた。得られた成分は前述の推定値と一致し、本手法により運動周波数による影響を除去できることが分かった。 3.運動開始直後の急激な運動の変化を抑えスムーズに始動させる手法を用いて得られたデータでは、従来は解析対象としていなかった1周期目のデータからでも大略良好な解析結果が得られた。従って本手法により短時間の模型曳航試験から必要な特性を得ることができ、実験の省力化が期待できる。
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