2002 Fiscal Year Annual Research Report
疎結合分散コンピューターシステムを用いた地熱貯留層解析
Project/Area Number |
14750733
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 俊昭 九州大学, 工学研究院, 助手 (90294892)
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Keywords | 分散処理 / 地熱貯留層 / トレーサー / 坑井内二相流動 / 格子ポルツマン法 |
Research Abstract |
安価に入手可能な複数台のパソコンをネットワークで接続し、分散処理可能な計算環境の構築を行った。OSとしてはフリーのLinux、並列処理システムとしては新情報処理開発機構により開発されたSCoreを採用することにより、システム全体の構築コストを低減できた。 構築した計算環境上で、断裂型地熱貯留層における3次元的な浸透率の分布や亀裂の広がりを想定して、種々の3次元亀裂モデルを作成し、還元井と生産井の間で実施されるトレーサー試験におけるトレーサー濃度曲線の応答挙動のシミュレーションを行った。 得られた濃度曲線に対して、複数流路モデルを仮定して逆解析を行った結果、亀裂の広がりや透水係数の分布により、再湧出率や平均滞留時間、ペクレ数の変化を伴った特徴ある流路に基づく複数の濃度曲線として分離され、今後のより複雑な亀裂モデルを用いたトレーサー濃度曲線の逆解析を行う場合の亀裂モデル構築の指針となる知見を得た。 また、地熱坑井内の二相流体の挙動を把握するために、気液二相流体シミュレーションプログラムを開発した。計算手法には複雑な流体挙動を計算可能な格子ボルツマン法を採用した。 地熱生産井内における気液二相流体の挙動を検討するために、気液二相状態における気泡の生成・移動・分離・結合などの種々の挙動の可視化を行った。 更に、地熱生産井内にスケール析出防止を目的として薬注管を挿入した二重管構造における複雑な形状に対して、気液二相流体の挙動、並びに気泡の発生および成長過程のシミュレーションを行い、可視化した。 これらのシミュレーションを、構築した計算環境で実施した結果、短期間に膨大な計算が可能となり、大型計算機などを利用する場合に比べ、計算コストの削減や実用性の高さが確認できた。
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