2002 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける突然変異矮性遺伝子とQTLとの間の交互作用
Project/Area Number |
14760006
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 講師 (10305162)
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Keywords | 突然変異矮性遺伝子 / イネ / QTLマッピング / 戻し交雑 / d35 |
Research Abstract |
本年度の研究実績 イネにおいて稈長は収量性に関わる重要な形質である.稈長を低くする矮性突然変異遺伝子は,実用上負の影響を与えるため,実際の育種に生かされた例はほとんどない.本研究は,矮性突然変異遺伝子と長稈品種の長稈遺伝子との交互作用を明らかにし,矮性突然変異遺伝子を育種へ有効利用することを目的としている.本年度の研究実績は以下の通りである. 1.材料の育成およびQTLマッピング 本研究では矮性突然変異遺伝子としてd35とd50を研究対象とし,戻し交雑によってd35をもつ矮性突然変異品種「短銀坊主」,並びにd50をもつ矮性突然変異系統「ふ系71号」の遺伝的背景に長稈品種カサラスの長稈遺伝子をもつ系統を育成中である. 平成14年度はBC2F1集団を圃場に展開し,突然変異系統と同時期に出穂した最長稈個体に突然変異系統を戻し交雑し,BC3F1個体となる交雑種子を得た.また,BC2F1集団の諸農業形質(出穂日,稈長,穂長,分げつ数,節間長)の調査を個体毎に行った.遺伝的背景が揃ってきたため,前世代と比較して矮性突然変遺伝子の変異に及ぼす影響が顕在化し,稈長の変異は二頂分布を呈したが,なお連続的であった.また,草型は反復親に酷似しているものの稈長については明らかに反復親より高い個体が出現した. ふ系71号を反復親とする戻し交雑集団については個体毎にDNAを抽出し,イネゲノムプロジェクトが公表しているSTSマーカーを利用して稈長に関するQTLマッピングを行った.短銀坊主を反復親とする集団については,出穂期の変異幅が大きく,稗長に及ぼす影響が大きいと考えられたので,稈長に関するQTLマッピングを行わなかった. 2.d35のマッピング d35の座位決定は本年度の計画に含まれていたが,2002年度の学会発表で座位決定が行われたため,おおよその位置が合っていることを確認するに留めた.
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