2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウメの機能性成分代謝系酵素遺伝子に着目した機能性成分高含有系統早期選抜法の構築
Project/Area Number |
14760007
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
喜多 正幸 独立行政法人農業技術研究機構, 果樹研究所・生理機能部, 研究職員 (10343972)
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Keywords | カロテノイド / ウメ / フィトエン合成酵素 |
Research Abstract |
データベースに登録されているカロテノイド生合成系遺伝子の相同領域から合成した縮重プライマーを用いて成熟期のウメ果実由来cDNAを鋳型にRT-PCRを行い、cDNA断片の単離を試みた。その結果、IPP異性化酵素、FPP合成酵素、GGPP合成酵素、フィトエン合成酵素、フィトエン不飽和化酵素、ζカロテン不飽和化酵素、リコペンβ環状化酵素およびβカロテン水酸化酵素の部分断片を得ることができた。 また、樹上完熟するウメ品種'織姫'の果実を開花後経時的にサンプリングし、カロテノイド含量を測定した。その結果、着色が認められる完熟直前にカロテノイドの集積が急速に起こり、とりわけβ-カロテン(総カロテノイド含量の約75%)およびβ-クリプトキサンチン(総カロテノイド含量の約10%)の含量が増大することが明らかとなった。RT-PCRにより、各酵素遺伝子の時期的発現量を比較したところ、カロテノイドの集積にはフィトエン合成酵素が深く関与していることが推察された。また、成熟初期のウメ果実にはα型のカロテノイドとβ型のカロテノイドの含量比がほぼ50%ずつ含まれているが、成熟後期に向かいβ型のカロテノイドが優先的になることから、α型とβ型の存在比を決定付けるリコペンε環状化酵素が成熟後期に重要な役割をはたしていることが推察された。さらに、成熟後期のβ型カロテノイドとしてはゼアキサンチン以降の分子種の存在比は低く、ゼアキサンチンとビオラキサンチン間を触媒するゼアキサンチンエポキシ化酵素とビオラキサンチン脱エポキシ化酵素の働きが、β-カロテンおよびβ-クリプトキサンチンの集積に関与していることが推察された。現在はこれらを新たに単離して遺伝子発現の特徴付けを行うとともに、鍵となる酵素遺伝子の完全長cDNAの単離を進めている。
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