2003 Fiscal Year Annual Research Report
個体各器官の物質移動とシンク・ソース関係から解析した水稲の幼穂の形態形成
Project/Area Number |
14760008
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小林 和広 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (90234814)
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Keywords | 水稲 / 穎花数 / 温度 / 窒素 / 炭素13 / 形態形成 |
Research Abstract |
穂首分化期から穎花分化始期まで気温およぴ水温を昼間26,29,32℃の3段階に変えて,水稲を生育させた.その結果,高温になるほど分化1次枝梗数,分化2次枝梗数ともに減少した.地上部乾物重には温度によって明確な傾向が認められなかったので,気温および水温が直接,1次枝梗および2次枝梗の分化に関与していると考えられた.穎花分化始期ごろに^<13>Cをフィーディングすることによって,そのときに同化した炭素が各器官にどのような割合で転流するかを調査した出穂期にフィーディングした水稲をサンプリングした結果,葉身,茎葉に同化した炭素が多く存在し,穂ではほとんど検出されなかった.さらに温度処理によって分配率に差は認められなかった.このことは穎花分化始期には幼穂自体はまだ小さいので必要な炭水化物はわずかであること,さらにこの時期に同化された炭水化物は成長の盛んな葉身などへ転流し,構造性物質となり,貯蔵されて将来的に穂の発達に使われる炭水化物はほとんどないことを示した.穂首分化期から穎花分化始期までの窒素施肥量を変えて,穂の発達を比較する実験も行った.施肥窒素が増加するほど,分化1次枝梗数,分化2次枝梗数は増加した.穎花分化始期に^<13>Cをフィーディングすることによって,そのときに同化した炭素が各器官にどのような割合で転流するかを調査した.出穂期にフィーディングした水稲をサンプリングした結果,温度実験のときと同じ傾向が得られた.すなわち葉身,茎葉に同化した炭素が多く存在し,穂ではほとんど検出されなかった,以上のことからポット実験という条件ではあるが,穎花分化始期ごろは幼穂が小さいので,同化産物を積極的に幼穂へ転流することはなく,また貯蔵する炭水化物も少ないので,この時期に同化された炭水化物はほとんど穂へ転流しないことがわかった.
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