2004 Fiscal Year Annual Research Report
個体各器官の物質移動とシンク・ソース関係から解析した水稲の幼穂の形態形成
Project/Area Number |
14760008
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小林 和広 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (90234814)
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Keywords | 水稲 / 穎花数 / 温度 / 窒素 / 炭素13 / 形態形成 |
Research Abstract |
今年度は以下の実験を行った.1穂穎花数の大きい品種,すなわちシンクサイズの大きい品種であるアケノホシを円形20粒に播種して栽培し,幼穂形成期にCO_2施肥を行うことによって,ソースサイズを種々に変えた.その結果CO_2施肥によってむしろ分化穎花数が減少する傾向がみられた.CO_2施肥した場合,処理終了時には乾物重が増加しているのに対し,出穂直後には穂以外の乾物重は小さくなる傾向にあった.このことから幼穂形成期には炭水化物が多くなっても,分化穎花数は増加しないことが示唆された.小林・堀江(1994)によると幼穂形成期に地上部窒素含有率が低下すると分化1次枝梗当たりの分化2次枝梗数が減少し,その結果,分化穎花数も減少する.今回の実験からはCO_2施肥によって,おそらく炭水化物が蓄積される一方,窒素吸収量は変わらなかったので,地上部窒素含有率が低下し,分化穎花数が減少したと考えられる.3年間の結果をまとめると,以下のようになる. 1.気温および水温が直接,1次枝梗および2次枝梗の分化に関与していると考えられた. 2.穂首分化期ごろ同化された炭水化物は成長の盛んな葉身などへ転流し,構造性物質となり,貯蔵されて将来的に穂の発達に使われる炭水化物はほとんどないことを示した. 3.穎花分化始期ごろは幼穂が小さいので,同化産物を積極的に幼穂へ転流することはなく,また貯蔵する炭水化物も少ないので,この時期に同化された炭水化物はほとんど穂へ転流しないことがわかった. 4.幼穂形成期のCO_2施肥は地上部窒素含有率の低下を通してむしろ分化穎花数が減少する可能性がある.
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Research Products
(1 results)