2003 Fiscal Year Annual Research Report
オクタデカノイド類によるトマト果実中のカロテノイド生合成制御機構の解明
Project/Area Number |
14760024
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
今西 俊介 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 野菜茶業研究所・機能解析部・収穫後生理研究室, 研究員 (50343976)
|
Keywords | トマト / オクタデカノイド類 / カロテノイド |
Research Abstract |
高齢化社会を迎えて消費者の健康志向が強まる中で、機能性成分を多く含む青果物の供給に対する要求は非常に高まっている。トマトは、リコペン、β-カロテンをはじめとするカロテノイド類を多く含み、その抗酸化作用等の機能性が注目されている。これらカロテノイド類は、トマト果実の成熟に伴って生合成・蓄積されるが、その分子機構に関しては不明な部分が多い。本研究では、カロテノイド合成系遺伝子群の発現調節におけるオクタデカノイド類シグナルの役割を明らかにすることを目的としている。 普通品種および成熟変異体トマトの様々な成熟ステージの果実から果肉ディスクを作製し、エテフォンもしくはジャスモン酸メチルエステル溶液で処理を行った。各サンプルからRNAを調製し、リアルタイムRT-PCR法により、発現様式を解析・比較した。トマトのカロテノイド合成系酵素をコードする各アイソ遺伝子を特異的に増幅するよう設計したプライマーを用いた解析の結果、エチレンおよびジャスモン酸メチルエステルによって、それぞれ特異的に誘導されるアイソ遺伝子を明らかにした。しかし、それら遺伝子の発現の変化は、実際のカロテノイドの変化に対して小さいものであった。 そこで、エチレン生合成に関わるアイソ遺伝子の発現レベルの変化を解析した。その結果、殆どの成熟ステージもしくは成熟変異体トマトにおいて、ACC酸化酵素遺伝子の発現が、ジャスモン酸メチルエステル処理によって大きく誘導されることを明らかにした。ACC合成酵素に関しては各アイソ遺伝子によって応答様式が異なっていた。 これらの結果から、トマト果実において、オクタデカノイド類は、主にエチレン生合成系を調節することによって、カロテノイド合成系の遺伝子群を制御していることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 今西俊介, 永田雅靖: "トマトのカロテノイド生合成遺伝子の発現について"園芸学会雑誌. 72(別1). 363 (2003)
-
[Publications] S.Imanishi, M.Nagata: "The Effect of Methyl Jasmonate on Expression of the Genes Involved in Ethylene Biosynthesis in Tomato Fruits"Plant Biology 2003 (Final Program and Abstract Supplement). 146 (2003)
-
[Publications] 今西俊介, 竹内敦子, 永田雅靖: "トマト果肉ディスクにおける成熟関連遺伝子の発現について"園芸学会雑誌. 72(別2). 507 (2003)
-
[Publications] S.Imanishi, M.Nagata: "The Effect of Methyl Jasmonate on the Expression of Ripening Related Genes in Tomato Fruits"Plant & Cell Physiology. 45(in press). (2004)