2002 Fiscal Year Annual Research Report
キュウリモザイクウイルスの欠損RNAの利用に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
14760029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹下 稔 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (00304767)
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Keywords | キュウリモザイクウイルス / 欠損RNA |
Research Abstract |
D-RNAとして要求される分子構造上の特徴を明らかにするためにD-RNAのcDNAをクローニング後,ウイルスゲノムと共に増殖可能なD-RNAをin vitroにおいて転写合成な実験系を確立した.親株であるCMV-Y RNA1〜3との混合接種試験において,D-RNAは20代以上の継代試験で安定して保持され,永続的に増殖を続けることが明らかとなった.D-RNAの全塩基配列を決定したところ,細胞間移行蛋白質遺伝子の70番目〜121番目のアミノ酸残基がインフレーム欠失することでD-RNA分子が形成されていることが明らかとなった.また,CMV-Y RNAのcDNAクローン由来のD-RNAを持たないCMV-Yの継代接種を行い,人工的にD-RNAが派生するか否かの再現実験を行った.その結果,20代以上継代してもD-RNAの出現は認められなかった.今後,接種植物や生育温度の設定変更を検討する予定である.さらに,D-RNAがD-RNAとして存在するために必要な分子構造上の条件を明らかにすることを目的として,複数種のD-RNAの変異体を作製した.まず,制限酵素地図を使って,ランダムにD-RNAを作製したが,いずれの変異体も親株であるCMV-Y RNA1〜3との混合接種試験において,その増殖が確認されなかった.今後は,欠失領域の塩基配列を拡大あるいは縮小させ,D-RNAの分子構造上の意義を探っていく方針である.
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