2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を利用した微生物還元によるキラルビルディングブロック合成
Project/Area Number |
14760053
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和田 大 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00301416)
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Keywords | 酵素 / 不斉還元 / ゲノム情報 / 酵母 |
Research Abstract |
酵素を用いてケトンのカルボニル基を立体選択的に還元し、光学活性な2級アルコールを与える酵素的不斉還元反応は数多くの研究例がある。しかし、炭素-炭素2重結合の酵素還元に関しては報告例が少ない。本研究ではketoisophorone(KIP)から有用カロテノイド前駆体であるダブルキラル化合物actinolを酵素反応で生産する方法を検討した。 KIPの2重結合を立体選択的に還元し、actinolの前駆体である(6R)-levodioneを与える酵素をパン酵母(Saccharomyces ceravisiae)より精製し、それがOld Yellow Enzymeであることを明らかにした。S.cerevisiae中には2つのOYE(OYE2,OYE3)が存在することが知られている。S.cerevisiaeのゲノム情報をもとに両遺伝子をPCR法でクローニングし、構築した発現プラスミドで大腸菌を形質転換した。得られた形質転換体の細胞抽出液を用いて検討したところ、KIPの不斉水素添加にはOYE2が適していることが判明した。補酵素再生には天野エンザイム社のGlucose dehydrogenaseを使用した。生成した(6R)-levodioneをすでにクローニング済みのCorynebacterium aquaticum M-13由来のlevodione reductaseと反応させると、有用キラルビルディングブロックであるactinolが得られた。条件検討の結果、10mg/mLのKIPから9.5mg/mLのactinolが生成し、光学純度は94%e.e.であった。
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