2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を利用した微生物還元によるキラルビルディングブロック合成
Project/Area Number |
14760053
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和田 大 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00301416)
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Keywords | 酵素的不斉還元 / ゲノム情報 / 酵母 |
Research Abstract |
酵素を用いてケトンのカルボニル基を立体選択的に還元し、光学活性な2級アルコールを与える酵素的不斉還元反応は数多くの研究例がある。しかし、炭素-炭素2重結合の酵素還元に関しては報告例が少ない。本研究ではketoisophorone(KIP)から有用カロテノイド前駆体であるダブルキラル化合物actinolを酵素反応で生産する方法を検討した。条件検討の結果、10mg/mLのKIPから9.5mg/mLのactinolが生成し、光学純度は94%e.e.であった。 また新たな光学活性アルコールのターゲットとして3-(S)-ヒドロキシ-3-(2-チエニル)プロパン酸エチルを設定し、Exiguobacterium sp.F42よりの3-オキソ-3-(2-チエニル)プロパン酸エチルを立体選択的に(S)体アルコールに還元する新規酵素を各種クロマトグラフィーで部分精製した。部分精製酵素のSDS-PAGEからin gel digestionでプロテアーゼ消化産物を取得し、HPLCで分取した。さらに各ペプチドフラグメントをエドマン分解に供し、アミノ酸配列情報を得た。得られたアミノ酸配列情報をもとに、インバースPCR法で本酵素をコードする遺伝子をクローニングした。本酵素は分子量27,000で、短鎖型アルコールデヒドロゲナーゼ/レダクターゼファミリーに属すると考えられた。本酵素遺伝子を大腸菌内で効率よく発現させ、組換え酵素を均一に精製した。組換え酵素の酵素化学的諸性質を解明した。本酵素ははチオフェン環をもつケトエステルに作用する還元酵素の始めての例である。本酵素はduloxetineなどの医薬品原料の合成に有用である。
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Research Products
(1 results)