2002 Fiscal Year Annual Research Report
有害物質の排出タンパク質MRP1の乳腺における機能の検討
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14760061
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田口 善智 近畿大学, 生物理工学部・遺伝子工学科, 助手 (70309269)
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Keywords | MRP1 / cDNA / 乳腺 / ウシ / 基質特異性 / 抗がん剤 / 抗生物質 / 植物アルカロイド |
Research Abstract |
ウシ乳腺より作成したcDNAライブラリーからMRP1 cDNAの全長を単離した。cDNAの塩基配列から、ウシMRP1は1530アミノ酸から構成されていると予想された。ウシMRP1のヒトMRP1およびマウスMRP1とのアミノ酸レベルでの同一性は、それぞれ91%,87%であった。単離したウシMRP1 cDNAを動物細胞用の発現ベクターに組み込み、ヒト由来の培養細胞に導入した。MRP1に対する抗体を用いてウェスタンプロッティングを行った結果、cDNAを導入した細胞の細胞膜にウシMRP1が確かに発現していることが確認された。得られたウシMRP1発現細胞が制ガン活性をもつ数種類の薬剤に対して示す耐性度を調べた。その結果、ウシMRP1の発現細胞は、数種の薬剤に対して耐性を示すことがわかった。しかし、いくつかの制ガン剤に対する耐性スペクトラムは、ヒトMRP1の発現細胞が示すそれとは明らかに異なっていた。ウシMRP1発現細胞は、半合成植物アルカロイドのVP16に対して、ヒトMRP1発現細胞よりも高い耐性を示した。一方で、ヒトMRP1発現細胞が高い耐性を示すアンスラサイクリン系の抗生物質である(ドキソルビシン)に対しては、ほとんど耐性を示さなかった。この結果から、ウシMRP1は有害物質の排出活性をもつが、その基質特異性は、ヒトのMRP1のもつ基質特異性とは異なることが示唆された。現在、得られたウシMRP1 cDNAをマウス乳腺において特異的に大量に発現させるためのベクターを構築し、そのマウスへの導入を検討している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Taguchi, Y., Saeki, K., Komano, T.: "Functional Analysis of MRP1 cloned from bovine"FEBS letters. vol.521. 211-213 (2002)
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[Publications] Komano, T., Taguohi, Y., Takebe, S., Sakai, H., Mikawa, S., Kamai, Y.: "Structural and functional analyses of the genes for growth hormone (GH) and insulin-like growth factor-I (IGF-I). and the functions of GH and IGF-I"Mem.Res.Insti.BOST.Kinki.Univ.. No.8. 1-14 (2002)