2003 Fiscal Year Annual Research Report
有害物質の排出タンパク質MRP1の乳腺における機能の検討
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14760061
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田口 善智 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70309269)
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Keywords | MRP1 / 乳腺 / マウス / 重金属 / ウェスタン解析 / 免疫組織染色 / 血液脳関門 / ABCタンパク質 |
Research Abstract |
MRP1は、抗ガン剤や重金属などの有害物質を、細胞内から外へ排出するポンプタンパク質である。最近のノックアウト動物を用いた研究から、MRP1の生体における本来の機能は、体内に存在する有害物質から体内のより大切な部分を守るという非常に重要なものであることが示唆されている(血液精巣関門、血液脳脊髄液関門)。そこで、MRP1が、乳腺において、有害物質が乳汁中に移行しないように機能しているのではないかと考え、その検証をマウスで行った。乳腺におけるMRP1の発現を検討した。抗MRP1抗体を用いた免疫組織染色により、MRP1が、授乳中のマウス乳腺の乳腺上皮細胞に発現していることがわかった。また、MRP1タンパク質の乳腺での発現量は、出産後、徐々に上昇し、泌乳量最大となる時期に最大となる一方、非妊娠マウスや、妊娠中や離乳後の母マウスの乳腺でははほとんど発現していないことが、ウエスタン解析により明らかになった。次に、乳腺に発現するMRP1タンパク質が、実際に機能しているかを検討した。MRP1の基質である重金属アンチモンの母体血中から乳汁中の移行度を、MRP1の発現量が多い出産2週後の母マウスと、その発現量が少ない出産2日後の母マウスで比較した。その結果、出産2週後は、出産2日後よりも、投与物質が乳中へ移行しにくい傾向があることがわかった。以上の結果は、MRP1が、アンチモン等の重金属が母体から乳汁へ移行するのを阻止するのに機能する可能性を示唆していると考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Saeki K, Matsumoto K, Kinoshita M, Suzuki I, Tasaka Y, Kano K, Taguchi Y, Mikami K, Hirabayashi M, Kashiwazaki N, Hosoi Y, Murata N, Iritani A.: "Functional expression of a Δ12 fatty acid desaturase gene from spinach in transgenic pigs."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. in press. (2004)