2002 Fiscal Year Annual Research Report
キノプロテイン-アミン脱水素酵素触媒反応メカニズムの解析
Project/Area Number |
14760074
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高木 一好 立命館大学, 理工学部, 助教授 (50330014)
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Keywords | ヒスタミン / バイオセンサー / 酸化還元酵素 |
Research Abstract |
今年度の研究においては、新たにグラム陽性細菌Nocardioides simplexから精製したヒスタミン脱水素酵素(HmDH)について、新規キノプロテイン-アミン酸化還元酵素としての可能性を探索した。HmDHの酸化型は440nm付近に明瞭な吸収ピークを示す。基質ヒスタミン添加時の紫外可視吸収スペクトル変化を解析した結果、本酵素は1サブユニット当たり1分子のヒスタミンによって完全に還元されることが明らかとなった。また、本酵素のEPR分析を行った結果、基質ヒスタミンによって半還元されたHmDHからは明瞭なEPRシグナルが得られ、HmDHの活性中心には有機コファクターが存在することが強く示唆された。これまでに明らかにされているキノプロテイン-アミン酸化還元酵素は、すべて、カルボニル試薬によって阻害を受けるが、HmDHとカルボニル試薬との反応は遅い。今後、HmDHの活性部位にフェニルヒドラジンを付加させたものをクロマトグラフィーにより単離し、その構造解析、ならびに、スペクトル解析を行う予定である。 HmDHの触媒反応挙動については電気化学的手法を用いた解析も行った。通常の炭素電極、金属電極を用いた場合、本酵素と電極との間の直接電子移動の観測は非常に困難であった。一方、いくつかの電子伝達メディエーターの中で、既に合成方法の詳細が報告されているOs錯体がメディエーターとして良好に機能した。電極表面にHmDHとメデイエーターの両方を固定化した機能電極を作製し、臨床分析および食品分析の現場からの要望が強い新しいヒスタミンセンサーとしての特性評価を行った。今後は、HmDHからメディエーターへの電子移動について、電気化学的手法を用いてさらに検討を続ける予定である。
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