2004 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル因子としてのアミノ酸のタンパク質合成翻訳開始促進作用の解析
Project/Area Number |
14760078
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
吉澤 史昭 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10269243)
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Keywords | タンパク質合成 / 翻訳調節 / AMPK / ロイシン / イソロイシン / 骨格筋 |
Research Abstract |
細胞内のエネルギーレベルを感知して翻訳を調節する機構が存在することが最近の研究で明らかになったことから、本年度はアミノ酸の供給とこの調節機構との関連について調べ、細胞が如何にしてアミノ酸の供給を感知するのか、その機構を知る手掛かりを得ることを目的として研究を行った。 細胞内のエネルギーレベル、特にAMP/ATP比の増加を感知する酵素であるAMP-activated protein kinase(AMPK)が注目されている。AMPKはAMP/ATP比の増加によって活性化されると、ATPの生産経路を刺激してATP生産を促進し、またエネルギーを消費する反応を抑制してATPの消費を抑えることが知られている。タンパク質合成は多くのATPを消費する過程であり、AMPKの調節を受けることが最近の研究で示された。さらにAMPKによるタンパク質合成の調節はmTORシグナル伝達系を介して行われることが示された。アミノ酸はmTORを活性化して翻訳開始段階を活性化することが知られていることから、アミノ酸の翻訳開始段階活性化作用とAMPKの活性の関係について検証した。 18時間絶食にしたラットに、骨格筋タンパク質合成促進作用を有する分岐鎖アミノ酸、あるいは生理食塩水(対照)を経口投与して1時間後に骨格筋を摘出して、AMP/ATP比とAMPK活性AMPKα1、AMPKα2)を測定した。その結果、イソロイシンを投与した場合にAMP/ATP比が減少し、AMPK α2の活性が減少した。骨格筋タンパク質の合成促進作用が最も強いロイシンは、AMP/ATP比とAMPK活性に影響を及ぼさなかった。以上のことから、イソロイシンは細胞内のエネルギーレベルを増加させることでAMPK活性を減少させて、結果としてmTORシグナル伝達系を活性化してタンパク質合成を促進することが示唆された。また、ロイシンはAMPK活性に影響を及ぼさなかったことから、ロイシンとイソロイシンは別のシグナル伝達経路でmTORを活性化していることが示唆された。イソロイシンが細胞内のエネルギーレベルを増加させる機構については今後検討が必要である。
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Research Products
(2 results)