2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア外Coenzyme Qの還元機構とその生理的存在意義の解明
Project/Area Number |
14760091
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 隆幸 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (40216726)
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Keywords | コエンザイムQ / ユビキノン / ユビキノール / アポトーシス / 脂質過酸化 / 酸化還元酵素 / 紫外線 / HeLa細胞 |
Research Abstract |
HeLa細胞の培養液に添加したCoenzyme Q_9 (CoQ_9)は、濃度依存的・経時的に細胞内に取り込まれ、その60〜80%は還元型のユビキノール(CoQH_2)として検出された。この外因性CoQの還元はZn^<2+>により強力に阻害された。そこで次に、この細胞内でのCoQ還元がHeLa細胞内でどのような生理作用を発揮するか検討するため、UV誘導アポトーシスとt-Buthyl Hydroperoxide誘導脂質過酸化反応に対する効果を検討した。HeLa細胞へのUV-BあるいはUV-Cの照射は、DNA断片化、細胞内Caspase-3の活性化や、ミトコンドリアからのCytochrome c遊離を特徴とするアポトーシスを引き起こした。50μM CoQ_9,16時間の前処理は、細胞内CoQH_2含量をおよそ15倍増加させたが、UV-BあるいはUV-C照射によるこれらアポトーシスの生化学的指標に対し全く影響を与えなかった。同様の結果は、過酸化水素やα-Tocopherol Succinateで誘導されるアポトーシスでも見られた。一方、t-Buthyl Hydroperoxideで誘導される脂質過酸化反応と、それに伴う細胞からの乳酸デヒドロゲナーゼの漏出は、CoQ_9前処理により有意に抑制された。これらの結果は、HeLa細胞内のCoQ還元機構が、CoQを還元することで細胞の抗酸化能を上げ、それに伴う細胞死(ネクローシス)を防御する働きを持つが、アポトーシスには何ら影響を与えないことを示す。活性酸素などのミトコンドリアからのCytochrome c遊離を主経路とするアポトーシスは、細胞へのCoQあるいはCoQH_2添加により抑えられることが既に報告されている。そのため、この研究で得られた結果との矛盾点の解明が、今後の研究の新たな課題となった。
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