2002 Fiscal Year Annual Research Report
南西諸島北部地域における森林性希少鳥類アカヒゲの個体群胴体のモデル化
Project/Area Number |
14760108
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
関 伸一 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 研究員 (50343801)
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Keywords | アカヒゲ / 巣箱 / 個体識別 / 年繁殖成功 / 性判別 |
Research Abstract |
南西諸島北部でアカヒゲが比較的高密度に生息する鹿児島県十島村中之島地区に,調査区約6ヘクタールを設定し,巣箱100個を設置した。巣箱は捕食圧軽減型のものを利用し,捕食による影響を除いた個体群パラメータの推定が行えるようにした。これは,この地域には在来の捕食者は生息しないものの,人為的に移入された捕食者による影誓が大きいためである。捕食者による影響については既存のデータを利用し,研究とりまとめ時にモデルに組み入れるものとした。また,年生存率・年繁殖成功などを明らかにするため,調査区内で繁殖する成鳥と巣立つた雛のすべてを捕獲し個体識別用の足輪を装着した。成鳥についてはつがいごとの繁殖成功を記録した。雛は外部形態によつて性を判別することができないが,一部個体からは血液・その他のDNAサンプルを採集する事ができたので,DNAにもとづく性判別が可能であるか検討した。調査区では,アカヒゲは3月下旬から4月初旬に夏鳥として渡来し,繁殖は4月下旬から8月中旬に行われた。調査区内で繁殖・定住・または調査区内になわばりの一部を持つ個体の総数は推定107個体で,このうち101個体を捕獲・標識した。今年度,繁殖期をとおして追跡できたつがいについて,一腹卵数は平均3.2卵,捕食の影響を除いた場合の孵化率は89%,巣立ち率は100%であった。1繁殖期の繁殖回数は1〜3回で,年繁殖成功は7.6雛/つがい(繁殖期をとおして捕食による繁殖失敗のなかった10つがいのみを対象とする)であった。雛から採集したDNAサンプルについては,性染色体上のCHD部位を増幅・電気泳動する事で性判別が可能であった。次年度以降は標識個体を再捕獲・再確認し,齢・性ごとの年生存率や移動・分散についてのデータを収集する。
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Research Products
(1 results)