2002 Fiscal Year Annual Research Report
免疫法によるグアイアシル及びシリンギルリグニンの選択的標識
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14760113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 助手 (60273489)
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Keywords | リグニン / 樹木細胞壁 / 免疫標識法 / 抗体 / 競合阻害ELISA / beta-O-4型結合 / beta-5型結合 / 5-5型結合 |
Research Abstract |
本年度はこれまでに5-5型結合を含むデヒドロジバニリン-BSA複合体に対して作製した抗体の特異性を、数種の2量体リグニンモデル化合物を用いた競合阻害ELISAによって調べるとともに、新たにリグニン中のbeta-O-4型及びbeta-5型結合に対する抗体の作製を目指した。beta-O-4型結合を含むグアイアシルグリセロール-beta-グアイアシルエーテル及びbeta-5型結合を含むデヒドロジコニフェリルアルコールをp-アミノ馬尿酸を介してジアゾカップリングによりBSAに結合させ、複合体を調製した。その複合体をマウスに腹腔内投与して抗血清を得た。得られた抗体はアフィニティー精製によりタンパク質部分に対する抗体を除去して精製し、競合阻害ELISAにより抗体の特異性を検討した。 抗デヒドロジバニリン抗体の特異性を調べた結果、この抗体はbeta-O-4型、beta-beta型及びbeta-5型2量体に比べて5-5型結合を含むデヒドロジバニリンに対して極めて高い特異性を示した。このことから、抗体によりリグニン中の結合様式を識別できる可能性が示唆された。 新たに調製した2種類の複合体について、いずれも複合体中のモデル化合物部分に対する抗体の生成が確認された。抗デヒドロジコニフェリルアルコール抗体は他のbeta-O-4型、5-5型2量体に比べ、デヒドロジコニフェリルアルコールに対して高い特異性を示した。抗グアイアシルグリセロール-beta-グアイアシルエーテル抗体については、複合体には反応するが、グアイアシルグリセロール-beta-グアイアシルエーテルには反応しなかった。これについては、抗原とした複合体中でモデル化合物部分が変化した可能性もあり、抗原の調製法を再検討する予定である。
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