2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14760118
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大村 和香子 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (00343806)
|
Keywords | シロアリ / 味覚生理 / 摂食行動 / 摂食刺激 / 摂食阻害 |
Research Abstract |
本研究では、シロアリの味覚感覚の特徴を電気生理学実験及び行動実験によって明らかにすると同時に、電子顕微鏡観察による味覚感覚毛の特定を行うことを目的とする。本年度はネバダオオシロアリ(Zootermopsis nevadensis)擬職蟻を用いて、まず各種顕微鏡による味覚感覚毛の観察を行い、さらに異なる樹木抽出物に対するシロアリの味覚応答を調べ、摂食行動と電気生理応答との相関を検討した。 透過電子顕微鏡観察によりLabial palp上において感覚毛基部に味受容細胞が5個存在することが明らかとなった。 次にネバダシロアリの味覚を刺激する物質として、本種が巣材としているアカマツ(Pinus densiflora)辺材と、本種が忌避すると考えられるニーム(Azadiracta indica)枝材を用いて、各々の水抽出物を調製し実験に供した。 行動実験の結果からニームは摂食阻害活性を示すこと、アカマツはニームよりも摂食しやすいこと、アカマツの添加によりニームの摂食阻害活性が低下することが確認された。 一方電気生理応答においてはアカマツとニームでは異なる応答を示し、またニームとアカマツの等量混合物ではニームと同様の応答を示した。これはニームによりアカマツ特有の応答が阻害されることを示唆している。 この段階では感覚毛基部の細胞自体がニームにより破壊されてしまい応答を生じなくなった可能性があるため、次にこれまで応答を取った感覚毛に対して再度アカマツで刺激し応答を確認した。その結果、前回のアカマツにおける応答と同様な応答が得られたことから、ニームによる応答の抑制は一時的な現象であることが明らかとなった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Wakako Ohmura, Seiji Ohara, Koh Hashida, Masakazu Aoyama, Shuichi Doi: "Hydrothermalysis of flavonoids in relation to steaming of Japanese larch wood"Holzforschung. 56(5). 493-497 (2002)
-
[Publications] Wakako Ohmura, Mamiko Ozaki, Ryohei Yamaoka: "Behavioral and elctrophysiological taste responses in a termite, Zootermopsis nevadensis"XIV International Congress of IUSSI The Golden Jubilee Proceedings. 103 (2002)
-
[Publications] 大村和香子, 尾崎まみこ, 山岡亮平: "異なる樹木抽出物に対するネバダオオシロアリの摂食行動と電気生理応答との相関"第14回日本環境動物昆虫学会年次大会要旨集. 41 (2002)
-
[Publications] 大村和香子, 加藤厚, 林徳子: "ネバダオオシロアリの味覚感覚(1)"第53回日本木材学会年次大会年次大会要旨集. 683 (2003)
-
[Publications] Wakako Ohmura, Michio Saegusa, Koichi Yamamoto, Tatsuro Ohira, Atsushi Kato: "Termite trail-following activity of Houttuynia cordata extracts"Japan Environmental Entomology and Zoology. (2003)