2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14760119
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 実 東北大学, 農学部, 教務職員 (70232204)
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Keywords | 絶滅危惧種 / 遺伝子系図 / 遺伝子流動 / 集団構造 / 成立史 / ミトコンドリアDNA / リュウキュウアユ / 集団サイズ |
Research Abstract |
奄美大島に残存するリュウキュウアユは、東西(住用湾域と焼内湾域)の2集団に分化していることが示されてきた。しかし、これらがどのような過程を経て成立したのかについての結論は得られていない。本研究は、マイクロサテライトDNAとmtDNA調節領域の配列分析により2集団間の現時点での遺伝子流動の有無と各集団の歴史的形成過程について明らかにし、2つの集団の保全上の位置付けについて検討することを目的とした。リュウキュウアユは2000年7月に住用湾域の4河川と焼内湾域の1河川から採集した28〜31個体(計150個体)を対象とした。マイクロサテライトDNA分析によって、集団間の遺伝的分化の程度を定量化し、個体間の遺伝距離によって2集団間の移住の有無を検討した結果、2集団間の分化の程度は遺伝的変異全体の50%前後で非常に高い値を示した。また各集団はそれぞれ近縁な個体から構成されており、現時点での集団間の移住は全くないと考えられた。ダイレクトシーケンスにより調節領域前半部(340bp)の配列を調べた。ハプロタイプ数は東集団(住用湾域)で8個、西集団(焼内湾域)で5個であった。集団間に共通のハプロタイプはみられず、両者に遺伝子流動がないことが支持された。各集団のハプロタイプは117番目のサイトの置換により識別でき、ハプロタイプ間の置換数は集団内で1〜4個、集団間で3〜7個であった。ネットワーク系図によりハプロタイプ間の系統関係を検討した結果、東集団のハプロタイプは単系統であったが、西集団のハプロタイプは東集団に対して側系統となつていた。このことから、奄美大島の集団は島の西側で最初に形成され、そこから少数の個体が移住して東集団を形成したと考えられた。また、東集団では最も高頻度のハプロタイプから低頻度のハプロタイプが派生しており、近い過去に集団サイズを増大させたことが示唆された。一方、西集団ではそのような関係はみられず、集団サイズに大きな変動が生じたことが示唆された。以上の結果から、奄美大島におけるリュウキュウアユの2集団は進化的に独立した単位である(またはなりつつある)ことが示唆され、今後はそれぞれを進化的に意義のある単位とみなして保護管理する必要のあることが示された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ikeda, M., Nunokawa, M., Taniguchi, N.: "Lack of mitochondrial gene flow between populations of the endangered amphidromous fish Plecoglossus altivelis ryukyuensis inhabiting Amami-oshima Island."Fisheries Science. 69. 1162-1168 (2003)