2002 Fiscal Year Annual Research Report
核内転写因子の発現を制御する高度不飽和リン脂質に関する研究
Project/Area Number |
14760131
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 雅史 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (10241374)
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Keywords | 高度不飽和リン脂質 / 核内転写因子 / c-Jun / c-Fos / c-myc mRNA / サイクリンD1 |
Research Abstract |
1.ヒト白血病HL-60細胞のdibutyrylcAMP (dbcAMP)による分化誘導に対し、DHAの結合したホスファチジルエタノールアミン(DHA-PE)が顕著な促進効果を示し、それに伴う増殖抑制効果が確認された。このような併用効果はシロサケより分離したPEによっても認められた。 2.DHA-PEとdbcAMPを併用処理したHL-60細胞からmRNAを抽出し、核内転写因子AP-1の構成タンパク質をコードするc-jun mRNAの発現をノーザンブロディングにより解析したところ、その発現上昇が認められた。 3.DHA-PEとdbcAMPの併用処理によるc-jun mRNAの発現は、インキュベート24時間目で顕著になり、ウェスタンブロディングによるc-Junタンパク質の発現亢進が確認された。c-Junは転写因子のAP-1を構成するタンパク質であることから、DHA-PEによる分化誘導促進効果がAP-1を介した作用であることが示唆された。 4.一方、分化誘導剤としてレチノイン酸を用いた場合、DHA-PEとの併用効果は認められたが、c-jun mRNAの発現上昇が認められなかった。よって、分化誘導剤の種類により関与する転写因子が異なることが示唆された。 5.更に、DHA-PEとdbcAMPを併用処理したHL-60細胞では、細胞周期制御因子であるサイクリンD1の発現抑制とそれによって調節されるc-myc mRNAの発現抑制が認められた。c-Mycタンパク質は細胞周期をS期へと移行させることでガン細胞の無秩序な増殖を引き起こす因子と考えられている。よってDHA-PEとdbcAMPの併用による増殖抑制効果は、これらの細胞周期制御因子の発現制御によって引き起こされていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)