2003 Fiscal Year Annual Research Report
麻ひ性貝毒原因渦鞭毛藻のシスト形成に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
14760136
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小檜山 篤志 北里大学, 水産学部, 助手 (60337988)
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Keywords | 渦鞭毛藻 / Alexandrium / 有性生殖 / シスト / 分子生物学 |
Research Abstract |
渦鞭毛藻Alexandrium tamarenseのシスト形成機構を明らかにすることを目的とし、本年度は、まず昨年度に引き続き、シスト形成におけるカルシウムイオンの必要性を調べた。倍地中にEGTAを添加した結果、高濃度のEGTAは増殖をも阻害したが、低濃度のEGTAを添加した場合では、増殖を阻害せずにシスト形成数を減少させた。次に、昨年度行ったディファレンシャルディスプレイ法では安定した結果が得られなかったため、サブトラクティブハイブリダイゼーション法を用いて交配型特異的遺伝子の単離を試みた。その結果、9種類の遺伝子を単離することが出来た。さらに、cDNAを用いたサザンブロット解析あるいは全RNAを用いたドットブロット解析を行った結果、4個のクローンは交配型間で発現量が異なることが示唆された。これらクローンのうち、1種類は既報の生物種の遺伝子と比較的相同性が認められるものであったが、他は既報のものとは相同性を示さないものであった。さらに、交配型間で発現量の差が大きい1個のクローンにつき、RACE法を用いてcDNA全長の塩基配列の決定を試みた。その結果、現在までに681塩基を決定することができ、翻訳領域は151アミノ酸をコードすることが予想された。演繹アミノ酸配列をBlastを用いた相同検索に供したが、既報のものとの類似性は見出せなかった。また、交配型間で発現の異なるタンパク質の同定を行うことを目的とし、定常期初期の細胞から抽出したタンパク質をSDS-PAGEに供して比較した。その結果、約50および60kDaに計3成分の交配型特有に発現していると考えられるタンパク質の存在を確認することができた。以上、今年度はシスト形成にはカルシウムが必要であること、さらに、遺伝子およびタンパク質レベルで交配型間で発現が異なると考えられる分子の存在を確認することができた。
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