2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本稲作農業における労働の異質性および市場不完全性:非入れ子型検定による検証
Project/Area Number |
14760149
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
園田 正 名古屋経済大学, 経済学部, 講師 (60329844)
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Keywords | 非入れ子型検定 / 農業・非農業労働の異質性 / 農業労働市場の欠落 / 一般化積率法 / 構造変化 |
Research Abstract |
昨年度は,農業・非農業労働の異質性および市場条件に関する六つの仮説の下で農家家計モデルを比較する方法を提案し,日本の稲作農家について実証分析をおこなったが,本年度は主としてその改善に時間を費やした。本研究は農家家計モデルの生産面・消費面それぞれを一般化積率法(GMM)で推定する。このため,生産面の比較においては,生産関数と経常財投入の最適条件に関する直交条件を維持仮説とし,農業労働投入の最適条件に関する直交条件を部分的に検証する方法をとることにした。他方,消費面(需要体系)の比較においては,帰無仮説の下での需要関数の数が対立仮説の下でのそれと異なる場合にも適用可能なCoxタイプのpaired nonnested testおよびmultiple nonnested testを考案した。これらの方法により,理論的にアドホックであった昨年度の方法が改善され,昨年と同じデータを使った実証分析から,農業・非農業労働は異質であり,農業労働市場は欠落しており,非農業労働市場は競争的であるという結果が確認された。(本年度予定していた国際学会での発表はSARSの影響により中止した。) 本年度予定していた構造変化分析については,データ収集により『農家の形態別にみた農家経済』の1967〜1981,1992〜1994年度分を補充した。構造変化分析は予備的分析にとどまり,以下の点がわかった。生産面については,機械的技術(M技術)と生物学的・化学的技術(BC技術)を区別する二段階生産技術を定式化し,二つの技術に特有の技術進歩の分析をおこなう方法が有効である。消費面については,農家世帯員の就業状態の変化に注目し,地方への農外企業の進出状況,世帯員間の分業関係の推移などについて調べる必要がある。このような生産面と消費面の構造変化のインパクトの評価,ならびにそれらの相互依存関係の分析により,興味深い結果が引き出せると思われる。
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