外部経済効果を考慮した農業・農村整備内容・水準の決定手法に関する計量経済学的研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14760150
• Research Institution: National Institute for Rural Engineering
• Principal Investigator: 合崎 英男 独立行政法人農業工学研究所, 農村計画部, 研究員 (00343765)
• Keywords: 選択型コンジョイント分析 / 選択実験 / 農業農村整備事業 / 外部経済効果 / 多面的機能 / 環境便益 / 生態系保全 / 指標生物

Research Abstract

本研究の目的は,外部経済効果を踏まえた最適な農業・農村整備の整備内容・水準を定量的に評価でき,かつ調査コストを抑制できる計量経済学的手法を開発することである。本年度の研究実施計画は,第1に,農業・農村整備事業の受益者である地域住民に対して事業と環境便益との関係についてヒアリング調査を実施して環境便益に影響する要因を探索することである。第2に,ヒアリング等から得られた情報を踏まえてプレテストを実施することである。第3にプレテストの結果から問題点を摘出して学会報告する一方,次年度の計画に反映させることである。
第1の点については,茨城県友部町において水田とそこに生息する生物との観点からヒアリング調査を実施した。また,神奈川県,奈良県,および兵庫県における生態系に配慮した事業等について調査を実施した。さらに,水田と生物との関係について取り組んでいる研究者から圃場整備と水田に生息する生物の生息状況に関する情報を収集した。これらの情報を整理した上で,第2の計画であったプレテストを実施した。茨城県牛久市の一般市民を対象として生態系との調和に配慮した水田農業の環境便益を評価することを目的としたプレテストである。第1の計画に基づいた調査でも指摘されていた点であるが,一般市民に整備を直接評価してもらうことは困難であり,環境との調和に配慮したことを表す適切な指標を使用する必要があることが,プレテストを通じて支持された。そこで2回目のプレテストでは,生態系との調和の配慮レベルとして指標生物を設定し,それを属性として設定した選択型コンジョイント分析を実施したところ,統計的にも有意な結果が得られた。これらの問題点を整理した上で関連学会で口頭報告を行った。