2003 Fiscal Year Annual Research Report
水稲湛水土中散播における播種深度の制御に関する研究
Project/Area Number |
14760151
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
牧山 正男 茨城大学, 農学部, 助手 (20302333)
|
Keywords | 直播稲作 / 代かき / 表層硬度 / 均平精度 / 播種深度 / スクミリンゴガイ |
Research Abstract |
1.湛水土壌中散播での種子の埋没深に関する実験的検討 直播の中でも今後重要な役割を果たすと考えられる湛水土壌中散播に注目し,種子の埋没深に表面土壌硬度,湛水深,被覆種子の質量と大きさ,落下高さが及ぼす影響について検討した.その結果,湛水の抵抗の予想外の大きさを指摘した.すなわち,湛水条件下で種子が適切な埋没深を得られるのは,代かき後の土層がまだ十分に沈下せず,表面土壌が極めて軟弱なときのみであること,また被覆種子の質量や落下高さを増すことによって埋没深を増せるのも,湛水下では表面土壌が軟弱なときに限られることが明らかになった. 2.水稲の直播栽培を導入する際に着眼すべき点 水稲の直播栽培は,導入する側(農家)の需要に技術の利点が噛み合い,さらに普及を図る側(多くの場合,行政)がそれを補佐して初めて普及・定着へと至る.本報はその議論のための交通整理を試みたものである。すなわち,(1)直播の利点を踏まえつつ,その導入が有効な農業経営形態を整理した。(2)直播の問題点の捉え方について考究した。(3)農家が需要を認識するパターンについて関東各地の事例を呈示しつつ類型化した. 3.水稲直播栽面積の動向および技術進歩との関係 本報告では,水稲直播栽培(直播)の面積の変化について全国レベルおよび県レベルで当時の技術水準を考慮しながら詳細にに分析し,過去から現在に至る直播の動向について検討した.その結果,全直播面積の変化のみでの普及状況の議論には限界があること,その一方で,県別あるいは地方別に面積変化を分析することによって,年代ごとの技術水準について検証できる可能性が示された.さらに近年の直播面積の動向を見たところ,基盤整備を契機に直播を導入したり,生産調整の実績算入面積として認められるなど,技術の向上に加えて,直播を導入しやすい環境が整ってきていると考えられた.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 牧山正男: "湛水土壌中散播での種子の埋没深に関する実験的検討"農業土木学会論文集. 222. 109-114 (2002)
-
[Publications] 坂田賢, 牧山正男, 三野徹: "水稲直播栽培面積の動向および技術進歩との関係"農業土木学会誌. 71(6). 47-52 (2003)
-
[Publications] 牧山正男, 沢田実穂: "湛水土壌中散播での種子の埋没深について"2002年度農業土木学会大会講演要旨集. 602-603 (2002)
-
[Publications] 牧山正男: "水稲直播栽培の導入を考える際に着眼すべき点"2002年度農業土木学会関東支部大会講演要旨集. 101-103 (2002)
-
[Publications] 牧山正男, 伊東太一: "スクミリンゴガイ被害に対する田面均平整備の効果"2003年度農業土木学会大会講演要旨集. 874-875 (2003)