2003 Fiscal Year Annual Research Report
GISとマイクロ・シミュレーションの統合による土地利用区分手法に関する研究
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14760159
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Research Institution | National Institute for Rural Engineering |
Principal Investigator |
遠藤 和子 独立行政法人農業工学研究所, 農村計画部, 主任研究官 (90343764)
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Keywords | マイクロ・シミュレーション / 農地利用予測 / 傾斜地水田地帯 / 農業労働力 / 世代交代 |
Research Abstract |
傾斜地水田地帯を対象として、農地利用の予測を行うマイクロ・シミュレーションのプログラム作成を行った。シミュレーションは、労働力制約のもとに農地利用の後退が進行しているという当該地域の実態に基づき、農業労働力の変動に伴い農地利用が変動するというフローを検討した。そのうち労働力の変動については,世帯員の死亡,出生,結婚,他出,Uターンなどの人口学的変動過程,および農作業従事からのリタイア,農外就業からのリタイアに伴う農作業従事の増加,経営主のリタイアに伴う後継者の従事増加など農作業従事の増減を判断する2つのフローを検討することとした。検討の素材として農業センサスなどの統計データを用いるほか、当該地域の農家を対象に農作業従事への意向調査を実施した。その結果、同居するあとつぎ世帯員が農作業従事の経験がある場合には世代交代が発生していることが確認できた。また、世代交代を機に経営耕地面積は平均で84%に減少するが、経営耕地面積が120aより大きい場合のそれは96%にとどまることが明らかとなった。予想される世代交代については、1/3が農業を継ぐ、1/3が100%ではないが農業を継ぐ可能性がある、1/3が農業を継がない、と回答しており、世代交代後もある程度農地利用が維持される可能性が示唆された。 これらの知見をもとにシミュレーションモデルを作成し、事例村を対象に農地利用の予測を行った。集落を単位に予測を行い、圃場条件別に実測値(2000年センサスの値)と予測値の比較を行った。その結果、圃場条件が良好ではない集落では、誤差の少ない予測結果が得られているのに対して、圃場条件が比較的良好な集落においては過少な予測値を示すことが明らかとなった。このことから、農地利用の予測に圃場条件の差異を反映させるような仕組みが必要であることが示された。
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