2002 Fiscal Year Annual Research Report
農地土壌で生じるプレファレンシャル流に及ぼす人為的活動の影響評価
Project/Area Number |
14760160
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
宮本 輝仁 独立行政法人農業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・環境資源研究部, 研究員 (40343983)
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Keywords | プレファレンシャル流 / 浸透現象 / Time Domain Reflectometry (TDR) / 黒ボク土 / 営農形態 |
Research Abstract |
農地土壌内で発生するプレファレンシャル流の実態を圃場管理形態と関連づけながら解明するため、圃場管理形態の異なる農地における特徴的な浸透形態を把握するとともにプレファレンシャル流の発生の有無を調べた。 圃場試験は九州沖縄農業研究センター内の隣接する牧草畑と育種試験畑で行った。牧草畑はバヒアグラスが栽培されており、8月と10月の年2回、刈り取りが行なわれていた。過去14年以上、不耕起の圃場である。育種試験畑はソバの2期作が行われていた。3月下旬に深さ20cmまでロータリー耕が行なわれ、実験当日は裸地状態であった。各圃場とも1m×0.6mの区画内にトレーサを40リットルを2時間散布した後、観測孔を掘り、浸透形態の観察および山中式硬度計による土壌硬度測定を行なった。 更に、牧草畑では、塩を溶かしたトレーサ散布前後で幅・深さともに1mの土壌断面内の水分・EC分布を0.1m間隔でTDR法を用いて測定し、浸透形態の観察結果と比較した。 浸透形態の観察から、牧草畑で土壌表面全体が着色された後、土壌断面内は部分的にしか着色されず、根系に沿ってプレファレンシャル流が生じた。これに対して、育種試験畑では土壌断面全体を流れる分布流が生じた。山中式硬度計による高度分布は、牧草畑では表層45cm付近まで固い層が分布していたが、育種試験畑は表層から徐々に土壌硬度が増し、その分布は土壌表面に平行であった。 トレーサ散布前後における水分・ECのばらつきを各深度ごとに検討した結果、トレーサでは表層部分の浸透形態しか捉えられなかったが、TDRでは水分・ECの増加が1mまでの各深さまで確認できること。また、トレーサ散布により各深さの水分・ECの標準偏差が増加し、特に0.4、0.5、0.8m深での増加が著しいことからプレファレンシャル流により部分的に水分・溶質の移動が起こったことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Miyamoto, T.Annaka, J.Chikushi: "Soil Aggregate Atructure Effects on Dielectric Permittivity of an Andisol Measured by Time domain Reflectometry"Vadose Zone Jurnal. 2. 90-97 (2003)
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[Publications] 宮本輝仁: "二重間隙構造が誘電特性に与える影響"農業土本学会 土壌物理研究部会 論文集. 41. 39-48 (2002)
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[Publications] 宮本輝仁, 樽屋啓之, 塩野隆弘: "混成球モデルを用いた団粒土の誘電特性のモデル化"農業土木学会大会講演要旨集. 276-277 (2002)
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[Publications] 宮本輝仁, 樽屋啓之, 塩野隆弘, マヒソン プチソ: "植生および土壌乾湿状態の違いが表層水分分布に与える影響"