2004 Fiscal Year Annual Research Report
長期的に異なる光質環境が植物の光合成特性と個体成長特性に与える影響の解明
Project/Area Number |
14760168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼子 敬子 (大橋 敬子) 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50332599)
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Keywords | 青色光 / 赤色光 / 光質 / 硝酸還元酵素 / イネ / 個体成長 |
Research Abstract |
長期間の赤色光と青色光の混合光の照射は,赤色光のみの照射に比べてイネ個体の還元態窒素集積量を増加させる作用があることが分かってきた.このことは,青色光がイネの窒素吸収および同化において重要な役割を果たしていることを示唆している.そこで本年度は,イネの窒素吸収および同化に及ぼす影響を詳細に調べるため,イネ葉の硝酸同化の律速酵素であるNADH依存性硝酸還元酵素(NADH-NR)活性について解析を行った.なお,光がNADH-NR活性に及ぼす影響は,光を短期間照射する場合と長期間照射する場合とで異なる可能性があるので,今回は短期間の照射に的を絞って調査した.播種後25日目の苗を実験材料とした.赤色光のみ(R区),青色光のみ(B区)あるいは赤青混合光(RB区;赤:青=4:1)を短期間照射(5分間または12時間)して,最上位完全展開葉(第4葉)のNADH-NR活性を測定した.測定項目は,全NADH-NR量を反映した活性(total活性)および生体内において活性化状態にあるNADH-NR量が全NADH-NR量に占める割合を反映する活性化率とした. 5分間照射では,total活性は3試験区に有意差はなかった.活性化率はRB区がR区およびB区より有意に高かった.このことから,5分間照射では,total活性は光質の影響を受けないものの,赤色光と青色光を混合照射した場合のみ,NADH-NRの活性化率を上昇させると考えられた.12時間照射では,total活性はRB区がR区およびB区よりも有意に高かった.活性化率はRB区およびB区がR区より有意に高かった.以上の結果から,照射時間によって青色光がNADH-NRに及ぼす影響の程度は異なるものの,青色光の短期間照射はNADH-NRの活性化率上昇を誘導することが示唆された.この現象は,赤青混合光照射下で成育したイネ個体の還元態窒素集積量の増加に貢献したかもしれない.
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Research Products
(1 results)