2002 Fiscal Year Annual Research Report
豚筋形質由来の機能性タンパク質の特性並びに分子構造の解析
Project/Area Number |
14760172
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮口 右二 茨城大学, 農学部, 助教授 (60250990)
|
Keywords | 筋形質タンパク質 / 乳化活性 / ゲル強度 / 保水性 / 結着性 / 抗酸化性 / ラジカル消去能 / アンジオテンシン変換酵素阻害能 |
Research Abstract |
豚胸最長筋由来の筋形質タンパク質(SPは25MKClを含む50mMイミダゾール緩衝液を用いて抽出後、硫酸アンモニウムによる塩析を行い、SP全画分(WSP)、0-50%硫安飽和沈殿画分(SP-1)、50-75%硫安飽和沈殿画分(SP-2)ならびに75%硫安飽和沈殿画分(SP-3)を得て、水で透析した後、それぞれ凍結乾燥することでSP粉末標品を得た。このSP粉末標品を用いて、以下に示す加工および機能特性に関して基礎的な検討を行った。 SPの加工特性については、次のこと明らかとなった。すなわち、乳化活性の結果は、SP-2がWSPよりも高い値を示した。また、ゲル形成性は、SPの各画分とも単独ではその特性を示さなかったが、低塩濃度(0.15MNaCl)下において、豚肉ホモジネートに各SP画分を添加したところ、SP-3添加区では豚肉ホモジネートの粘性が著しく増大し、加熱処理、著しくゲル強度を高める作用がみられた。その効果はホエーやオボアルブミンを大きく上回り、SP未添加のゲルの10倍の破断応力値を示し、ポリリン酸塩様の保水性および結着性を付与する効果が認められた。 SPの生理活性機能に関しては、ロダン鉄法による抗酸化能の測定結果から、SPは優れた抗酸化能を有することがわかった。さらに、DPPHに主るラジカル消去能の測定では、WSPでほとんどその作用がみられなかったが、SP-3画分(5mg/ml)添加区では約50%の高いラジカル消去能が確認された。また、血圧上昇に関わるレニン-アンジオテンシン系のアンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害効果を調べたところ、WSPではACE阻害効果を有していなかったが、SP-3画分(5mg/ml)では約45%の高い阻害活性を示した。
|