2004 Fiscal Year Annual Research Report
豚筋形質由来の機能性タンパク質の特性並びに分子構造の解析
Project/Area Number |
14760172
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮口 右二 茨城大学, 農学部, 助教授 (60250990)
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Keywords | 豚筋形質 / プロナーゼE / 抗酸化ペプチド / DPPHラジカル消去能 / GAPDH / SEM / ミオシン / アクチン |
Research Abstract |
豚筋形質由来の酵素処理後の機能性ペプチド並びにグリセルアルデヒド-3リン酸-デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を部分精製し,それぞれ機能性および加工特性について検討したところ,以下のような結果が示された。 1)豚筋形質の硫安50-75%飽和沈殿区分(SP-F2)を回収し,同画分の酵素処理を行い,得られた抗酸化ペプチドの部分精製を試みた。その結果,各酵素(プロナーゼE,パパイン,ペプシン,キモトリプシン,フィシン)のうち,プロナーゼE処理が最も,抗酸化性を示すペプチドを多く含むことが,DPPHラジカル消去能の試験により確認された。このプロナーゼE分解物をイオン交換クロマトグラフィーで3つの画分に分画され,さらにトヨパールHW40Sでゲルろ過を行った結果,5番目のピークに高い活性が示された。この画分は逆相クロマトグラフィーにより,ほぼ1つのペプチドに分画されていることが確認できた。現在,このペプチド成分の同定を試みているところである。 2)また,GAPDHによる食肉製品の加工特性改善効果については,粗GAPDH画分である硫安75%飽和上清画分(SP-F3)に高いリン酸塩様のテクスチャー改善効果を有することが確認した。GAPDHの精製度を上げるため,EDTA法さらにアフィニティークロマトグラフィー法により,精製度をられることをGAPDH活性の測定で確認し,得られた各GAPDH画分を豚筋原線維タンパク質に添加したところ,精製度に応じて破断応力値が増大しており,テクスチャー改善効果が強くみられた。また,精製されたGAPDHは筋原線維のアクトミオシンに作用し,0.2M以下のNaCl濃度下で,ミオシンおよびアクチンの可溶化を促進していることが,電気泳動を用いた共沈法により確認され,筋原線維のフィラメント構造の発達が走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から明らかとなった。
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