2003 Fiscal Year Annual Research Report
バベシア・カバリ原虫のワクチン開発に関する研究:感染防御および伝播阻止抗原の探索
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14760193
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
筏井 宏実 北里大学, 獣医畜産学部, 助手 (80327460)
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Keywords | Babesia caballi / Babesia gibsoni / Protein Disulfide Isomerase / Immunoglobulin Binding Protein / シャペロン蛋白質 / LAMP法 / 迅速高感度簡易診断法 / 疫学 |
Research Abstract |
本研究はBabesia caballi感染症に対して本原虫の生活史を総合的に鑑み、ワクチン開発および実用化することを最終目的として行われている。昨年度は新規特異的モノクローナル抗体を10種類作製を行ない、その7種類すべてのB.caballi原虫新規遺伝子配列を決定した。本年度はその新規遺伝子の内、シャペロン蛋白質(Protein Disulfide Isomerase(PDI)およびImmunoglobulin Binding Protein(BiP))の解析を行なった。加えて、今後in vivoにおいてそれら性状解析が必要と考えられるため、同属のBabesia gibsoni原虫を採取保存を行ない、以下の研究成果が得られた。 1.他の原虫におけるPDIの働きは、宿主免疫回避機構としての表面抗原変異、細胞侵入時における接着因子の活性化などがある。さらに、抗原虫薬の標的蛋白質としても重要視されている事から、得られたB.caballi PDI抗体および遺伝子を用いて共焦点レーザー顕微鏡による観察と大腸菌およびバキュロウイルス発現系での解析を行なった。B.caballi PDIは原虫が赤血球に接着・侵入する際に産生される蛋白質および分裂時における虫体構成蛋白質のフォールデイング補助蛋白質として主に働いているものと考えられた。 2.B.gibsoni原虫における迅速高感度簡易診断法の確立を行ない、沖縄県および青森県におけるB.gibsoni感染犬の比較疫学調査を行なった。LAMP法を用いる事により、現在高感度診断法として知られているPCR法と同等な感度で、より迅速な診断法を確立した。さらに青森県のB.gibsoniは、一般的に知られているマダニ媒介による感染よりも犬同士での水平感染(blood to blood)が成立している可能性が強く示唆された(掲載予定)。
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[Publications] Ikadai, H., Tanaka, H., Shibahara, N., Matsuu, A., Uechi, M, Itoh, N., Oshiro, S., Kudo, N.Igarashi, I., Oyamada, T.: "Molecular Evidence of Babesia gibsoni Parasite Infections in Japan and Evaluation of the Diagnostic Potential of a Loop-mediated Isothermal Amplification Method"Journal of Clinical Microbiology. Accepted(掲載予定).