2003 Fiscal Year Annual Research Report
エオタキシン-シュードモナス外毒素融合蛋白質を用いたアレルギー性疾患治療の試み
Project/Area Number |
14760202
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岩崎 忠 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (70336808)
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Keywords | エオタキシン / シュードモナス外毒素 / アレルギー |
Research Abstract |
近年、特定の転写因子を細胞内でトラップしてその活性を抑制する、いわゆるdecoy分子が実用化されている。研究代表者はこの技術がアレルギー性疾患の治療に有効であるか否かを検討するために、転写因子NF-kBに対するdecoy分子を作製し、この分子のアレルギー性鼻炎治療効果を評価した。 まず、BALB/cマウスを卵白アルブミンで感作した後に、同抗原を経鼻的に投与してチャレンジし、この疾患の重傷度のマーカーの一つである鼻粘膜中の好酸球性炎症の度合い(鼻粘膜への浸潤好酸球数)を病理組織学的に検索をおこなう、アレルギー性鼻炎のモデルを構築した。このモデル用いて、感作後のマウスに今回作製したdecoy分子を経鼻的に投与し、その後抗原チャレンジをおこなったところ、非投与群に比して好酸球性炎症が約50%に抑制された。アレルギー性疾患はマスト細胞を始め、リンパ球や好酸球などの免疫系細胞の活性化に起因する疾患であり、病態にNF-kBが重要な役割を果たしている事は示唆されてきたが、NF-kBdecoy分子が症状を抑制した事で、この考え方を支持する結果が得られた。 実際にはNF-kBは生体の防御機構で中心的な役割を果たす分子であるために実際の治療に応用する事は難しい。しかし、今回の結果から経鼻投与(経粘膜)投与という特殊な状況でも、decoy分子が有効に働く事が示され、アレルギー性疾患に特異的に発現する転写因子をターゲットとすることで、この技術を用いた治療法確立の可能性を強く示唆する結果を得た。現在、この成果の投稿準備を行なっている。
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