2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14760204
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
角田 勤 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (80317057)
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Keywords | モラクセラ・ボビス / 牛伝染性角結膜炎 / 転写制御 / 外膜蛋白 / 鉄 |
Research Abstract |
Moraxella bovisは牛伝染性角結膜炎(ピンクアイ)の起因菌である。これまでに線毛抗原を用いたワクチン開発が行われてきたが、抗原性の多型などの問題により未だ実用には至っていない。そこで新たなワクチンターゲットとして、菌の生存に必須の元素である鉄の取りこみに関連する外膜蛋白(OMP)に注目した。今回、M.bovis EPP63株の79kDaの外膜蛋白(IrpA)の発現量が外界の鉄濃度の変化に応じて制御されていることが明らかとなり、本蛋白は環境からの鉄取りこみに何らかの役割を果たしているものと考えられた。 IrpAは、その分子量や局在からNeisseria属菌のOMPであるFrpBやM.catarrhalisのCopBとの関連が疑われた。そこでM.bovis染色体PNAを鋳型に縮合プライマーを用いてPCRを行ったところ、予想されるサイズのDNA断片の増幅が見られ、塩基配列決定の結果、FrpB/CopB相同分子をコードする遺伝子であることが判明した。IrpAのN末端アミノ酸配列の結果と塩基配列から推定されたアミノ酸配列との照合により、IrpAは本菌におけるFrpB/CopB相同分子であることが確認された。 IrpAの発現制御には、鉄取りこみ関連蛋白遺伝子のリプレッサーとして知られているFerric uptake regulator (Fur)が関与していると推察された。IrpA遣伝子の上流に存在する逆反復配列(Fur box)とFurの結合をゲルシフトアッセイにより調べたところ、両者の結合性が確認され、IrpA遺伝子の転写制御へのFurの関与が示唆された。さらに、相同組み換えにより作出されたirpA欠損変異株は、親株と比較してラクトフェリンやヘミンの利用能め低下が見られ、IrpAあこれら宿主鉄結合蛋白の取り込みへの関与が疑われた。野外分離株のIrpAの保存性を調べる目的で、ウエスタンブロット解析ならびにそれらの株のIrpA遺伝子の塩基配列解析を行ったところ、株間でのIrpAの高い保存性が蛋白・遺伝子レベルで示唆され、ワクチンターゲットとしてのポテンシャルの高さを窺わせた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kakuda T (4人中1番目): "Cloning and characterization of the fur gene from Moraxella bovis."Microbiol.Immmol.. 47・6. 411-417 (2003)
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[Publications] Kakuda T (4人中1番目): "Molecular cloning and characterization of a 79-kDa iron-repressible outer-membrane protein of Moraxella bovis."FEMS Microbiol Lett. 225・2. 279-284 (2003)
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[Publications] Takai S (15人中11番目): "Molecular epidemiology of Rhodococcus equi of intermediate virulence isolated from patients with and without acquired immune deficieny syndrome in Chiang Mai, Thailand."J.Infect.Dis.. 188・11. 1717-1723 (2003)
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[Publications] Takai S (10人中8番目): "Virulence of Rhodococcus equi isolated from cats and dogs."J.Clin.Microbiol.. 41・9. 4468-4470 (2003)