2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14760208
|
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
西野 佳以 麻布大学, 生物科学総合研究所, 講師 (00271544)
|
Keywords | ボルナ病 / ボルナ病ウイルス / 神経症状 / Glycoprotein / L polymerase / 遺伝子変異 / ラット / 病原性 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に従い、成Lewisラットにおいて病原性の異なるBDV株CRP3およびCRNP5を免疫応答の未熟な新生児Lewisラットに実験感染し、病原性を比較した。 新生仔Lewisラット(生後24時間以内)に、2x10^3FFUのCRP3株(N=14)、2x10^3あるいは2x10^2FFUのCRNP5株(N=12)を、陰性コントロールとして同量の健常ラットおよびマウスの脳乳剤を脳内接種した(それぞれN=9)。感染後、経時的に一群3-5匹から脳および血液を採材した。感染動物は週に3回観察しボルナ病の症状を評価した。21日令までの仔ラットの評価基準は発育過程であることを考慮し定めた:(0)正常、(1+)軽度神経症状(異常行動)、(2+)明確な神経症状(運動障害、軽度麻痺、震顫など)(3+)重度神経症状(震顫の継続、全麻痺、致死)。 1、臨床症状 CRP3感染仔ラットが感染21日目まで明かな神経症状を呈しなかったのに対し、CRNP5感染仔ラットは感染14日目に症状を示し始めた。15-16日目の間に成ラットと同様の重度の致死的な神経症状(3+)を呈したため、安楽死した。 2、脳炎 炎症性細胞の浸潤は両ウイルス感染群において認められなかったが、CRNP5感染仔ラットにおいてより激しいグリオーシスと海馬のCA領域における錐体神経の脱落が認められた。一方、海馬のdentate gyrus領域は少なくとも感染16日目まで明らかな傷害は認められなかった。 3、脳内のウイルス量と分布 脳内のウイルス量ならびにその動態はCRP3感染群とCRNP5感染群でほぼ一致し有意差は無かったが、ウイルス抗原の脳内分布は両ウイルスで明らかな違いがあった。感染2週間後においてCRNP5感染群では脳全体にウイルス抗原が認められたのに対し、CRP3感染群では大脳皮質、海馬および小脳に限局していた。特に、CRNP5感染群では感染16日目までにウイルス抗原が認められた脳幹部は、CRP3感染群では同期間において抗原は認められなかった。 以上の結果より、BDV株標準株であるCRP3株と異なり、CRNP5株は免疫応答の未熟な新生児ラットに重篤な神経症状を引き起こし、ウイルスの脳内分布と海馬領域の標的細胞に違いがあることが示された。
|
Research Products
(1 results)